IDS ADV ECR
F-2支援戦闘機ってF-16の日本版。
F-15JってF-15Aでしょ?
んな分けないだろ。と、日本の多くの戦闘機ファンは憤慨すると思います。
でも、これが地理的に疎遠な欧州の主力機、パナビア
トーネードになると特徴的なバリエーションがありながらも、みんな同じでしょ。といわれる事が多いのは悲しい事です。
地球の裏側にしかないから、あまり興味が向かないのも仕方が無い事かもしれませんが、前記の戦闘機のように似て非なるものであって、各々が持つ特徴は全く異なっています。
トーネードは可変後退翼やスラストリバーサーを装備し、実戦経験も豊富で、特に湾岸戦争初日における超低空阻止攻撃、対防空網制圧や、飛行場破壊は甚大な
被害を出しながらもイラクの防空網に効果的な一撃を与えました。そんな面白い戦闘機を「トーネード」と、ひとくくりにしては勿体無い事この上ありません。
トーネードは大きく分けて3種類が存在します。
■Tornado IDS。
Interdictor strikeの略で、敵地攻撃の意味を持つ攻撃機型ですべてのトーネードの基本となります。
採用国は英独伊サウジ
英国ではTornado GR.1 Tornado GR.4 Tornado GR.4Aと呼称されます。
■Tornado ECR
IDSから電子戦に特化し、Electronic Combat Reconnaissanceの略で電子戦闘偵察の意の名を持つ電子戦機。
採用国は独伊
■Tornado ADV
ADVだけは他のトーネードとは違った戦闘機型でAir Defense Variantの略。すなわち防空型の意。
採用国は英伊サウジ
Tornado F.2 Tornado F.3はTornado ADVに分類されます。
以上、3種類のトーネードはそれぞれの任務に応じた武器やシステムを搭載しており、前述したF-15DとF-15Eの違いと同等の差が有ります。それぞれの外見的特長を見ていきましょう。
■Tornado IDS(攻撃機)
機関砲両舷2門搭載
(ただしGR.4は右舷に一門)
給油装置が右舷に半格納
■Tornado ECR(電子戦機)
FLIRを搭載。機首下にでっぱり
FLIR搭載に伴い機関砲を撤去
AGM-88 対レーダーミサイル装備
給油装置が右舷に半格納
■Tornado ADV(戦闘機)
・給油装置が左舷に完全格納
・機関砲左舷撤去し右舷1門搭載
・機首部が他よりかなり長い
・尾翼上部のアンテナ無い
英国のトーネードをもう少し詳しく見てみましょう。
左舷に機関砲の搭載が確認できますからTornado IDSであることが分かります。正確にはTornado GR.1
さらに細かく言えばGR.1の中にもGR.1 GR.1A GR.1Bのようなサブタイプまでありますが、それについてはまたの機会で。
GR.1は全機がGR.4に改修か退役済みです。
こちらはTornado GR.4です。同じIDSであるGR.1と何が違うのでしょうか。
Tornado GR.4はGR.1からの改修機で、機首下部にFLIRの搭載が行われたため左舷の機関砲が撤去されました。
また、右舷には半格納式に空中給油プローブを装備しました。IDSでもいろんな種類があるのです。
見るからに機首が長く、給油プローブも見えません。もうお分かりですね。戦闘機型のTornado ADVです。
正確にはTornado F.3
なお、つぶした左舷の機関砲スペースは空中給油装置の格納に当てられています。
機首下にでっぱりが確認できます。また右舷に機関砲が搭載されていません。
機関砲搭載無しのドイツのTornado ECRだと分かります。
一番大きいスカイフラッシュミサイルはADVのみが装備します。
トーネードIDSの特徴的な武装、巨大な対滑走路用のJP233ディスペンサー爆弾。
以上。たったこれだけ知っていれば簡単にのトーネードの最低限の区別はできます。
今後、「トーネード」としてではなく「トーネードIDS」「トーネードECR」「トーネードADV」と意識的に区別してみてください。
今まで以上にトーネードを深く見ることができるでしょう。
(更新日:2006年11月21日)
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