第99回:飛行機を撮ろう!ピンぼけに気を配る

兄ちゃん、なんで戦闘機すぐピンぼけしてしまうん?

「高速で飛翔する戦闘機を完璧にフレーミングする事に成功した!やったー!」
でも、家に帰ってPCでよく見てみると、ぼやけてた写真でぬか喜び...。なんて事ってよくありますよね。
被写体に焦点(フォーカス)が合致しない場合に、こうした写真が出来上がってしまいます。

一眼レフがデジタル主流になる遙か昔は、AF=オートフォーカス自体が無かったか、有っても酷く遅かったため、そのころから現役の大先輩方々はMF=マニュアルフォーカスで苦闘していたと聞きますが、今はよっぽどのことがない限りAFの方が高速かつ正確で、しかもフォーカスを常に合わせられ続けますから、通常戦闘機を撮影する場合はAFを用います。
ただ、機械任せですから、高速な反面、使用者の意図せぬ場所にフォーカスを合わせてしまう事があります。
ピンぼけの主な発生理由はそこにあります。ピンぼけを完全に撲滅する事はできないかもしれませんが、ピンぼけが何故発生してしまうかを知ることにより、減らすことはできるはずです。

ボケの発生原因は、「設定や努力で抑制できるもの」と、「どうにもならないもの」に大別することができます。

ピンぼけが発生する主な理由と回避

まずは前者、解決できるピンぼけ原因について、一つ一つ見てゆきましょう。

・必ずコンティニュアスAFにしよう。
飛行中の機を撮影する場合は必ずコンティニュアスAFモード(動体予測)に!
ワンショットAFでピントを合わせても、被写体が動いては何の意味も有りません。それでも忘れてピンぼけ写真を量産してしまった場合、そのボケボケの写真一枚一枚には、「あんたバカですよ」と、カメラからのメッセージが込められているものと思いましょう。

・必ずドライブモードに。
飛行中の機を撮影する場合は必ずコンティニュアスAF+ドライブモード(連写)に!
ドライブモード設定時は一度シャッターを切っても、半押しを続けることによりコンティニュアスAFが持続します。それでも忘れてピンぼけ写真を量産してしまった場合、そのボケボケの写真一枚一枚には、「あんたに私を使う資格は無いですよ」と、カメラからの三行半が込められているものと思いましょう。

・少し絞って被写界深度を広く
絞りを開放いっぱいよりも、多少絞った方が被写界深度を広く取れるので有利です。
ただ、適正露出にするためにはシャッター速度を遅くしなくてはなりませんから、今度はブレが酷くなってしまうかもしれません。ISOをあげれば解消しますが、今度はノイズが。あばばぶぶぶあ(゜д。;)
(多くの場合ではブレ対策を優先した方が良いかもしれません)

・測距センサーを意識しよう @
ファインダーの模様は飾りでは有りません。測距点を意識して被写体を捕捉しましょう。
(私のEOS20Dのファインダー。)
ファインダーの中央に被写体を捉えるのが基本です。このくらい大きくファインダーに入ってくれると嬉しいんですが。カメラやレンズによっては、中央を除く周辺の測距点がクロスセンサーではなかったりするので、ピンが甘くなる可能性が有ります。(クロスセンサーについては適当にググってください。知らなくてもOKです。)

・測距センサーを意識しよう A

ズームを引いた状態で編隊飛行を撮影する場合、測距点から機体が外れてしまうことがあります。
上の写真は一番下の点が5番機に辛うじて重なっているのでセーフですが、全ての機から外れてしまうとAFが迷ってしまい、像がぼやけてしまいます。 意外に多いので注意しましょう。

・近いモノが映り込むとフォーカスが移動してしまう
レンズやカメラによっては、動体=飛行機に常にAFを合わせてくれるとは限りません。
測距点に、より近い物体が入り込むとそちらにフォーカスを合わせようと迷ってしまうことがあります。これに遭うとついカッとなります(^ω^#)

邪魔な物体が入り込まないよう周囲をあらかじめ確認しておき、撮影時に注意を払いましょう。
目の前に脚立バカが居たなら蹴り倒して病院送りにしてOKです。嘘です。話し合いで解決しましょう。

また、AF作動範囲の設定が可能な場合は必ず遠距離に設定します。
私の使っているEF100-400レンズでは、AF作動距離を 1.8m〜∞、6.5m〜∞の二種類から選択する事ができますので、6.5m〜∞を選びます。これで近距離にはフォーカスを合わせなくなります。
覿面に効くばかりか、フォーカス範囲を狭めたことによりAFが高速になる利点も期待できます。

どうにもならないピンぼけ発生原因

・レンズやカメラの性能が追いつかない
マッハ0.8遷音速の高速パス時や、非常に近い距離を通過した場合などによく発生します。
MFで踏ん張るか、機材を買い換えるしか有りません。諦めましょう。高速パスの場合はブレやフレーミングの難度も激増しますから、困っちゃいますね。

・天気が悪い
AFは位相差検出方式という原理でフォーカスを合わせており、クッキリとしたものほど正確にフォーカスが合います。例えば晴天で十分な光が被写体に当たり、空気が透き通った綺麗な青空をバックに、ブルーインパルスのような派手な色の機体はAFにとっても優しいのです。

反面、灰色のロービジ色に、灰色の雲、光量不足の場合はAFにとって非常に過酷な状態です。元々背景にとけこむよう塗装が施された戦闘機を撮りたいと言うんですから、フォーカスの精度は確実に落ちます。
機体表面に凹凸が多い旧来機ならともかく、ステルスのような、なめらかな表面の機体だともう最悪です。

・視程が悪い

最悪の状態。AFが迷いまくること間違いなし。ピント以前にもう撮影をやめた方がいいかも。

・逆光
太陽と重なってしまうような酷い逆光時にもAFは正常に働きません。
可能なら移動しましょう。

シャープを強めにかけるとごまかせる...かもしれない

ボケちゃった写真は、フォトレタッチでシャープを掛けることによって、補正する事ができます。
デジタルにできないことなんて無いわ!

シャーピング前 → 事後
ただ、シャープを掛けるとどうしても画質が荒れますし、限界も有りますから、この辺のトレードオフは自分の中のセンスで決める必要が有ります。

やはり、レタッチに頼るよりもボケずにビシッ!っと決めるのがベストですけどね。

(更新日:2009年9月20日)


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