ドッグファイトの必勝パターン…それは。
戦闘機同士の空中戦…そう言われてまず思い浮かべるのは背後を取り合い遷移するドッグファイトでしょう。ドッグファイト。それは男のロマン!!(!?)
第51回及び52回、53回はやや初心者向けで、戦闘機対戦闘機の空中戦はどのようなものかを、簡単に説明する内容です。毒を吐いてしまうとTVゲームの
空中戦に影響されたのか、ドッグファイトなら零戦やミグ・スホーイ最強と叫ぶ方達には100回ほど読んでいただけると幸いです。
また、もしこのようなことを叫ぶ人がいたら、このページと、52,53回へリンクをはっておくと良いでしょう。
イチイチ説明する手間が省けます。(´ー`)
なお、戦闘機と言う表現に注意してください。訓練であっても実戦であっても、戦闘機が単独で行動するなどありえないからです。戦闘機と表現してあっても、それは必ず、戦闘機の編隊であることを忘れないでください。
さらに、飛行機のお話21,22回の「ミサイルの射程は飾り」と、31,32,33,44回の「現代の航空戦・最強戦闘機の条件」を、併せて読んでください。
戦闘機対戦闘機の空中戦では機関銃のみで武装した頃から、ミサイルの発達した現代においても、全く変わらない必勝パターンがあります。
「相手より先に発見すること。」
以上。終了です。次回をお楽しみに。
…では面白くないので、もっと深く説明しますと、もうこの段階で戦闘の勝敗の9割が決定しているのです。
「俺達はアウトだ たった30秒でこうなった やられてから“敵は?敵はどこだ?”Hahahaha!!!)」
映画トップガンのセリフです。
ただ映画を見るだけでは、管制塔フライバイと同じく、劇中の笑い話程度で流されてしまう場面でありますが、この言葉に敗因の9割が凝縮されています。実戦・訓練を問わず、撃墜されたほうは攻撃されてはじめて敵機の存在に気が付くのです。
この、「先に発見するという行動」、すなわち索敵。過去においてそれは、各自パイロットの“Mk1
Eyeball sensor”(一型眼球センサー...というジョーク)のみが唯一の手段でありました。
現代でも視覚による索敵は重要でありますが、主流はレーダーを用いた電子的な手段に代わりました。
地上レーダーサイトやAEWやAWACSといったレーダー施設、ECMと呼ばれるレーダーを阻害するジャミングやステルス、さらにそれら阻害に打ち勝つECCM、情報を全軍で互いに共有し合うデータリンク…等。
戦闘機対戦闘機は非常に複雑化しましたが、結局のところこれらは敵を先に発見するための装置にすぎず、時代は変われど「先に発見したほうが勝つ」という原則は何ら変わっていないのです。
幾ら強力なエンジンを搭載し、機敏な機動性を誇り、長大な射程のミサイルを搭載しても、敵を発見し、先手をとらなくては全く意味がないのです。撃たれてから気が付いても遅いのです。
F/A-22の標語に“First look,First kill(先手発見,先手撃墜)”と言うものがありますが…今回説明した要素の上にあるコトバであるのです。
そう認識すれば文字通り「航空戦を支配」する戦闘機であるとの意図が分かりやすくなるでしょう。
(更新日:2004年4月11日)
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