機体、エンジン、アビオニクス…
今、私の手元には「世界の傑作機別冊 ペンタゴンカタログ・戦争のお値段」という本があります。
戦闘機から戦車や航空母艦、銃器、JP-8燃料、星条旗、カメラ、ナイフやスプーンに至るまで沢山の米軍の調達品の価格とイラスト、簡単な説明が掲載されています。
ちょっと他には無い面白い着眼点の本なので、楽しめる内容となっておりますが、その中に掲載されている航空機の価格を幾つか挙げて見ましょう。
A-10A サンダーボルトII 880万ドル
F-14 トムキャット 3800万ドル
F-15ABCD イーグ 2990万ドル
F-15Eストライクイーグル 3110万ドル
F-16ファイティングファルコン 2000万ドル以上
B-2A スピリット 13億ドル
F/A-18Eスーパーホーネット 5700万ドル
RQ-1プレデター 4000万ドル
安価最大の特徴であると思われがちな無人機プレデターが戦闘機並みの価格であると言う事などは、知らない人にとってみれば驚きでしょう。
続いて、別の書籍に掲載されていた値段をピックアップしてみます。
A-10A サンダーボルトII 594万ドル
F-14A トムキャット 6342万ドル
F-15C イーグル 3662万ドル
F-16 ファイティングファルコン 1500万ドル
B-2A スピリット 5億ドル
二つの書籍を比べてみるとどれ一つとして同じ値段であるものがありません。A-10は286万ドル安価で、F-14は逆に2542万ドル高価、F-15は
672万ドル高価、F-16になると再び500万ドル以上安価になっています。極めつけはB-2で、実に8億ドルもの開きがあります。
次に米空軍のウェブサイトを見てみましょう。http://www.af.mil/factsheets/
A-10A サンダーボルトII 980万ドル
F-15A/B イーグル 2790万ドル
F-15C/D イーグル 2990万ドル
F-16A/B ファイティングファルコン 1460万ドル
F-16C/D ファイティングファルコン 1880万ドル
B-2A スピリット 11億5700万ドル
やはり、どの情報を見比べても価格が全く異なります。辛うじてF-15C/Dの価格が、最初のペンタゴンカタログと一致しましたが、どれが正確であるかなど全く判別が不可能です。
では戦闘機の数千万ドルというお値段は一体「何の値段」なのでしょうか?
支援戦闘機F-2を挙げてみますと、軍用機を知っているマニアにF-2の値段は?と聞くと80億円台と答える人と120億円台とする人におおよそ二分されます。(少なくとも私はその感じます)
1.5倍もの開きがありますが、どちらも正解と言えます。それはなぜでしょう?
平成9年度のF-2調達価格を見ると以下の内訳になっています。
機体 77億2800万円
F110エンジン 13億1800万円
火器管制レーダー 7億8200万円
IEWS統合電子戦装置 7億7700万円
その他の装備品等 14億5700万円
合計 120億6000万円
以上の表から80億円とは「F-2という殻」の値段で、120億円というのは中身を含めた「F-2戦闘機」という事を知る事ができます。つまり、80億円も120億円もF-2の値段としてはどちらも間違いでは無いわけです。
以上のことから、書籍からの二例及び空軍のサイトからの例はどれも「何を含んでいるか」の差であり、どれも「正解」には違いないのです。勿論、同じ戦闘機でもより強力なエンジンやアビオニクス類の換装・改修を行えば価格はさらに上昇するでしょう。
(戦闘機のお値段その2に続く)
戦闘機の価格を参照した書籍
・世界の傑作機別冊 ペンタゴンカタログ・戦争のお値段
・図解 世界の軍用機史2
・航空ファン05年3月号(F-2のお値段)
(更新日:2005年5月11日)
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