第83回:飛行機を撮ろう!入門・機材編2

よろしい。では一眼レフだ。

さて、前回の82回飛行機を撮ろう!入門・機材編1では、「やっぱ一眼レフ欲しいわ…」と思ったところで終わりました。今回は、『じゃぁどうやって一眼レフカメラを選べば良いの?』という点について話を進めてみましょう。

『一眼レフ』と、一言で言っても、たくさんのメーカーから、多種多様なカメラが発売されています。でも、飛行機撮影という特殊な用途で選ぶと、自ずと絞れてきます。
単刀直入に言うと、キヤノンかニコンどちらかにしましょう。
いきなり断言してしまいましたが、この二社のカメラは激しく動く被写体の撮影においては一日の長があり、飛行機、特に戦闘機を狙うのに非常に適しています。
また、一眼レフはレンズを選べる事が最大の利点であり、この二社は他のメーカーに比較し自社製純正レンズが多様に出ているのです。

写真の質は三割カメラ、七割レンズ(体感)

■予算∞
では、早速選んでみましょう。もし、私が予算の際限なく選べるとするならば、
カメラ:Canon EOS-1Ds Mark III
レンズ:Canon EF800mm F5.6L IS USM
この二種を選びます。で、ネットで底値を検索しましたが総額は200万円なり\(^o^)/


これから飛行機撮影を始めたいという入門者向けに書いているのに、全く意味の無い選択をしてしまいました。まあ、参考までにヽ(*´ー`)ノ
値段は張りますが、本当素晴らしい質感の写真が撮れます。いつかは手にしてみたいアイテムですね。


■予算25〜30万円
今度は真面目に預金通帳と相談して、カメラのボディとレンズを選びましょう。予算30万円も用意できるのなら、そこそこ良い機材が手に入ります。
ニコンやキヤノンの10万円程度の中級クラスのカメラに、20万円クラスの望遠レンズをお勧めします。
この記事を書いている2008年現在ならば、

キヤノン:Canon EOS 50DCanon EF100-400mm
ニコン:Nikon D90 Nikon ED 80-400mm
 ※注
(中級機+純正望遠レンズ)

こんな感じでしょうか。カメラは1〜2年で後継機が発売されるので、相当品を選びましょう。値段を重視するなら一つ型落ちもお勧めです。

100〜400mm級のズームレンズは飛行機撮影用に開発された。といっても過言でないほど、殆どのシーンに対応できます。
中級クラスのカメラを使用している場合、構造上焦点距離が1.5倍〜1.6倍程度に望遠されるので、実質600mm〜640mm前後として使用できます。
650mm?焦点距離って何よ?と思われるかもしれませんが、だいたい安物のコンデジの1倍が35mm程度、10倍ズームで350mm程度と解釈してください。詳しくは知らなくても全然OKです。というか私もよく分かりません(^^;


なお、私は構成例にあげたキヤノンと同等のCanon EOS 20DCanon EF100-400mmを使用しています。2004年の購入当時は40万円ちょっとでした。今買う人は安くなってて羨ましい。
 
こんな感じの写真が撮れます。

特に、EOS 10〜50D系とEF100-400の組み合わせは飛行機撮影界のF-16C/Dと言っても過言でないと思います。航空祭行くと居るわ居るわ、ほんとお前等没個性だな(苦笑)って感じです。あ、私の事なんですけどね><
白いレンズ持ちの7割はこの構成と考えていただいても過言では無いでしょう。それだけコストパフォーマンスに優れている。という証左でもありますので、周りとお揃いになっても全然オッケーと思えるならば、一押しです。

なお、EF100-400は非常に優れたIS(手ブレ補正)を持っていますが、ISの耐久性に難があるようです。
私や、同じレンズを使っている私の友人ともにISの不具合でオーバーホール行きと成りました(修理費1万5000円なり)。販売店による保障期間の延長サービスなどがある場合必ず入っておきましょう。


■予算20万円
このクラスの予算では先に例として挙げたCanon EOS 50DやNikon D90や、その他オリンパスやペンタックスなどの中級機にシグマAPO 150-500mmや、タムロンSP AF 200-500mmレンズを使う構成が人気が有るようです。

シグマやタムロンのレンズは購入時に各社に対応したマウント(くちがね)を選べるため、キヤノンやニコンなどカメラのメーカーを選ばないという利点があり、また500mmという超望遠にも関わらず10万円程度と安いので、お手軽感があります。
勿論、一眼レフは値段≒性能なので、Canon EF100-400mm や、Nikon ED 80-400mmと比較するとAFが遅い、500mmで使うと周辺減光(写真の中心からフチに向って徐々に暗くなる)がかなりキツイ、解像感に劣る、重いといった、それなりの差はあります。

この章の最初に三割カメラ、七割レンズと書いたように、カメラ本体よりもレンズの方が写真に対する影響度が大きいので、中級機+APO 150-500mmを選ぶよりも、入門機+純正望遠レンズの方が良いんじゃないかなあと、私は思います。

と言う訳で構成例
EOS Kiss X2Canon EF100-400mm
Nikon D60Nikon ED 80-400mm

(入門機+純正望遠レンズ)
各社中級機+シグマAPO 150-500mm
各社中級機+シグマAPO 120-400mm
各社中級機+タムロンSP AF 200-500mm
(中級機+シグマ・タムロン望遠レンズ)

後者は、私としては非推奨。カメラのボディはどうせ1〜2年でモデルチェンジしますが、レンズは殆ど完成された技術であるため、10年経っても十分一線級として使用することが出来ます。
どうせなら、レンズは奮発して、カメラは消耗品ぐらいに考えて選ぶ方が後々を考えてもお徳だと私は思います。


■予算10万円〜15万円
このクラスではシグマ、タムロン最強伝説です。
各社入門機+シグマAPO 150-500mm
各社入門機+シグマAPO 120-400mm
各社入門機+タムロンSP AF 200-500mm

しかも、焦点距離は十分あるので、エアショーなどでも不足をしない最低ランク。といったところでしょうか。


■10万円〜7万円以下
各社入門機+300mm程度のズームレンズなら、10万円以下に抑えられるはずです。本当、最低の最低限です。
中級機〜入門機は先ほども書きましたが構造上、焦点距離が1.5〜1.6倍になります。300mmのレンズも450mmとして使用できるため、不足気味とは言えエアショーなどでも使えない事も有りません。
手前で機動を行うぐらいなら450mmでも十分に足りますし、飛行場を離発着する旅客機・戦闘機程度なら全く問題なく撮影できます。
なんていうと古くからの飛行機撮影の猛者が嘆いてしまいそうです。デジタルなんて無かった頃は450mmでも超高級機だったのですから(^^;

本当に、ちょっとはじめて見たいかも!という人にお勧めの構成です。
安いものならばカメラ3万円+レンズ3万円程度から有るはずです。

結局カネ次第

長くなりましたが、「2008年現在、私ならこう選ぶ」という選択肢を列挙したに過ぎず、もちろん別にニコンやキヤノンでなくとも他の人を唸らせるような素晴らしい写真を撮る事は出来ます。無限の組み合わせの中から悩むのも楽しみの内ですから、色々と考えてみてください。

ただ、やはり経験者のアドバイスは聞いた方が良いかもしれません。

次回飛行機を撮ろう!入門・機材編3ではカメラ以外に必要なものについてを書きたいと思います。
(またお金掛かるのか!)


※注
ニコンED80-400mmはAF速度が遅く、あまり向いていないとの指摘を受けました。

>ニコンの80-400 VR はボディ内モータでAF駆動してますので、D90
>クラスのボディだと飛行機撮りのAFはちょっと厳しいかと。あとD60や
>D40はボディ内モータが無いので、AFそのものが効かないです…
>D60クラスだと AF-S 70-300/4-5.6 VR が価格重量共にバランスが
>良いかと思います。
>
>当地のエアショーだと、ニコン2桁機使いは70-200/2.8 VRに1.7倍
>テレコンか、300/4に1.4倍テレコン、シグマの100-300/4を使って
>いる人が多いです。
>
>以上ニコンユーザより気になる点でした。

だそうです。
やっぱ普段使ってないメーカーの事を書くとボロが出ますね。(つд`;)
ご指摘に感謝します。

(更新日:2008年12月5日)
(追記日:2008年12月12日)


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