第33回:現代の航空戦 最強戦闘機の条件(下)

ハードウェアで比べる時代は60年代に終わった。

(上)では、戦闘機はミサイルを運ぶ航空機だと言い、(中)では積んでる電子機器次第だと書きました。
「それじゃぁ現代の戦闘機はどれも同じようなものじゃないか!」
と、私に言われれば「はい、その通り。」と、答えると思います。冗談まじりの場合はF-15Eが最強だと言い張りますが…(笑)。

どれも同じようなものだから、全部統一して生産・整備の効率を上げよう!…という考えの元に作られたのが三軍統合攻撃戦闘機ってやつですね。JSF、いわゆるF-35A/B/Cのことです。

F-15やF-14が登場した頃までなら、「この戦闘機こそが最強だ!」なんて言えたかもしれませんが(戦術的見地からは無意味でも)、正直、F- 22/F-35ブラザーズ(似てるから…)みたいな、既存の戦闘機よりも、数千〜一万分の一というレーダー反射面積を持っている戦闘機を除けば、しつこい ですが本当にどれも同じようなモノです。

ただ、唯一差が出ているのが空対地攻撃です。
皮肉な事に、機動性が低くてもミサイルの性能の良し悪しが勝負を決めるとされていた思想が間違っているものだと認識された1960年代に設計された「空対 空専門」の戦闘機は、真のミサイル万能時代が到来した事により「空対空しかできない」とさげすまれる時代になってしまいました。F-15のような強力なス トライクファイターになり得なかったF-14はF/A-18に取って代わられ、今やストライクファイターを配備しない国は無くなりました。
21世紀に生産される戦闘機で、ほとんど空中戦専用に設計されているのはF-22だけです。ロシアが2010年代に配備予定としている次世代戦闘機も、間違い無くストライクファイターとして設計されるでしょう。
その、世界の数あるストライクファイターの現時点で頂点に君臨しているのがF-15Eです。F-16やF/A-18に搭載できない数多くの爆弾やミサイル を運用しております。AGM-130は世界で唯一の2000ポンド級爆弾を弾頭にした巡航ミサイル。他の戦闘機では1000ポンドクラスの巡航ミサイルが 最大です。そしてもう一つ有名なものがGBU-28バンカーバスター。これと同程度の爆弾を搭載可能なのはB-2/B-1Bのみです。

おっと、今回はF-15Eの話しではなかった。
空対空はどの国の戦闘機もほとんど搭載する兵器が同一ですが、空対地では様々なバリエーションが存在します(そして性能も多種多様)。レーダーや搭載能力、こういったものに目を向けてみるのも楽しいものです。

また、「強さ」には直接結びつかないかも知れませんが、ハリアーやグリペンのような非常に面白い運用を行う事ができる戦闘機もありますし、日本のF-2の ような、日本という地勢/政情に特化し、他国であらば間違い無く「失格」になってしまうようなクセの強い新型機もあったりします。

現代戦闘機はどれも横並びの上、戦術上では最強戦闘機なんて無意味です。でも、自分の好きな戦闘機に、思いどおりの理由をつけて「世界最強戦闘機」を作り上げるのもまた面白いのではないでしょうか?

私が思うに、これこそが自分の考える世界最強戦闘機に最も必要な条件だと思います。所詮はマニアの妄想なのですから。


(更新日:2002年3月24日)


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