第37回:それセスナちゃう。

セスナセスナセスナセスナ。

小型機をなんでもセスナと呼ぶ人は少なくありません。それに対してそりゃセスナじゃないよ。と突っ込む人も少なくありません。正しくはセスナ社の飛行機をセスナと呼ぶべきで、それ以外はセスナじゃないぞ…という事です。

「セスナ」という単語を聞いて真っ先に頭に思い浮かぶのはなんでしょうか?
セスナは意外にも双発ターボプロップ機やジェット機なんかも製造しているのですが、やはりセスナ社といえば、ジェット機のイメージより、単発肩翼2〜4人乗り程度の小型機をイメージします。

その多くの人が抱くセスナのイメージを創り出した機種の一つがセスナC173スカイホークです。戦闘機のような勇ましい名前を持つC173スカイホークは 世界で最もポピュラーな小型レシプロ機であり、過去40年間に生産された機数は30000機を優に超え、社会情勢により一時的に生産停止はされたものの、 現在では生産が再開され、数々の改良を加えられながらも昔から変わらない絶大な信頼性を獲得しています。実際この文章を読んでいる方々の中にも操縦経験を 持つ人がおられると思います。
私もPCのゲームのMSフライトシミュレーターではトラフィックパターンの訓練やクロスカントリーにC172を愛用しています。っていうかC172か同じセスナ社のC182ぐらいしか乗りません。
とはいえセスナ社以外の小型機を「セスナ」と呼ぶのは航空機の理解に乏しい日本人とマスコミぐらいのもの。

…というのは嘘です。


いまや「セスナ」は世界的に小型機の代名詞として完全に定着しています。アメリカだってヨーロッパだって変わりはありません。
何かしらの話の話題で、女の子がセスナどうこうと言った時に、セスナって飛行機つくってる会社の名前なんだよ。と、一言そえれば、へーそうなんだ、物知りだね。と一目おかれる存在になれるかもしれません。その後もしつこく言えばまず嫌われるでしょうが(笑)。

もし、セスナ以外の機体について鬼の首でもとったかのように突っ込む人がいたら言ってやってください。
「オマエこの前タイガー戦車やT34戦車のキャタピラどうこう言ってたろ、タイガーにもT34にもキャタピラなんてついてねーんだよ」と。
キャタピラはキャタピラ三菱社の登録商標です(日本では)。日本ではセスナ同様一般化した単語ですが、海外では一切通じません。種別の名前としては履帯、 もしくは無限軌道、クローラーと言います。同じく宅急便も、プラモも、セメダインも、ポリバケツも、セロハンテープも、テトラポッドも、イチイチ突っ込ま れてたら生活でません。

同好の志をもつ同士であればともかく、一般化した言葉なんかは興味無い人にとってはそれ自身が意味を持つ普通名詞なわけであり、正しくは違うなどと言う事 を気が付きもしないし、知ろうともしません。ちょっとした豆知識として言うならともかく、「突っ込み」は入れないようにしましょう。キャタピラは正確には クローラーである事がどうでもいいことであるように、セスナは正確にはセスナ社の航空機であることなんてどうでもいいことなのです。

とはいえ、競合他社の方と大人の付き合いで言う時は、一般名よか正式名で言いわないとマズイことになるかも。パナソニックのオーディオ機器にたずさわるビ ジネスマンに、ポータブルプレイヤーのことをウォークマン(SONYの登録商標)どうこう言ったらムカっとするはずですから(笑)

なお、上の写真がセスナかと思った方に一言(変なモンも映ってますが)。


それセスナちゃうわ!

(更新日:2002年6月8日)


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