第7回:ヤラレメカ(噛ませ犬)

漁礁

数だけは多いものの常に一矢報いることなくやられていく。ザクにしかりショッカーにしかりクリボーにしかり…特徴が無いのが特徴ともいえるほど何のとりえも無いがなぜか記憶に残るかわいそうなヤツら。

現代戦闘機でもヤラレメカがピッタリに合うヤツが居る。
その名も「MiG-21フィッシュベッド」

ソ連戦闘機の代名詞「ミグ」の代表格であるMiG-21フィッシュベッドは、F-4ファントム、F-15イーグルなど「正義の戦闘機」(皮肉)に撃墜されるためだけに生まれたといっても過言はあるまい。

一時は「F-15イーグルが一機撃墜される間にMiG-21を950機撃墜する事が可能」とまで言われてしまったほどだ。

そんな彼にも輝いていた時代が有った。ベトナム戦争初期である。アメリカ軍はミグを撃墜する際に必ず目視で確認する事が義務付けられていた。そのため中距離ミサイルAIM-7スパローを活かす事ができず、またミサイル自体の信頼性も低く「正義の戦闘機」F-4ファントムは鈍重だったため、軽快だけがとりえのMiG-21に対して接近戦を挑まれて苦戦を強いられることとなる。この時、一時的にだが正義の戦闘機に対してほぼ1対1の撃墜率を達することができた。

しかし、その優位性も長く続く事は無く、ベトナム戦争末期にはトップガン卒業生に面白いように撃墜される事となる…最終的には5対1程度であったといわれる。同時期、彼は中東でもイスラエルの戦闘機と戦って15対1程度とそのヤラレメカぶりをいかんなく発揮していた。

10年後…
イスラエルとシリアが全面戦争に入り大規模な空中戦が展開された。
イスラエルの主力はF-15イーグルとF-16ファイティングファルコン。シリア空軍の戦闘機はより新型のMiG-25(こいつもヤラレメカ)や、Su-7フィッター(こいつもヤラレメカ)等MiG-21以外にも多くが使用された。
その空中戦の結果は…100対0とも100対1ともいわれている。
イーグルファルコン連合は合計100機もの撃墜を記録する大戦果を上げた。対するヤラレメカ連合の撃墜はゼロ!!(後にイスラエルが1機が撃墜された事を発表。正確には85対1である)

さらにその10年後…
中東で大きな戦争が起こった。いわゆる湾岸戦争である。MiG-21はヤラレメカに徹し、その存在をアピール。唯一MiG-25がF/A-18を撃墜したのが救いか…
この湾岸戦争でヤラレメカラインナップに新メンバーが加わった。F-15F-16に匹敵する性能(カタログだけ)を持つ「MiG-29フルクラム」である。

さらにさらにその後10年間の間にも多数のMiG-21が撃墜されており、おそらくマッハ級ジェット戦闘機の被撃墜数世界記録を保持していると思われる。

MiG-21は現在でも新バージョンの生産が続行されており、その価格はなんと3億円ともいわれ、小国や発展途上国に人気沸騰中。機構が単純で扱いやすいことから「世界最高傑作」の名を欲しいままにしている。

新世紀に入った今後も傑作ヤラレメカMiG-21の活躍は続くであろう。


(更新日:2001年以前)
(2008年改訂:間違いデータをちょっと修正)


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