第106回:航空誌ライター1年やってみて

こうして航空雑誌のライターになった

2009年2月のMASDF10周年の際、私はこんな事を書きました。

>次の10年には、なにかこの10年には無かった
>大きな事を目標としたいですね。うん。


大きな事とは、ずばり航空雑誌に書いてみたいなあ。という目標でした。いえ、具体的にどう行動を起こせばいいのかサッパリでしたし、「目標」と言うよりも「希望」に近いものでした。
「毎月しつこく記事の売り込み投稿とかしてたらウゼエと思われつつもきっと覚えられるのではないか」
とか色々考えていましたが、仕事が忙しかったこともあり特に何かアクションを起こすことはありませんでした。
そして3ヶ月と1日後の5月22日こんなタイトルのメールが届きました。

「ご執筆のお願い」

思わず立ち上がって驚きました。
本文にはF-2スーパー改について2000字書いてください。締め切り・原稿料はいくらいくらです。と、書かれています。
「まて、まてまてよ。お、おおお、おおおおちつけ自分。こんなうまい話が有るわけがない。」
「うん。自分がやりたいと思ったタイミングに来るなんてオカシイ。」
「そうそう、有名航空誌の騙りかもしれない。」

「そうだ、きっとやりとりをしてると、10万円保証金を振り込んでくださいとか来るに違いない」

正直、振り込め詐欺じゃないかとか疑ってました(笑)
でも本当だとしたら・・・? こちらから動くどころか、向こうからお願いしてやってきたのです。こんな大チャンス逃すわけにはいきません。そんな動揺を隠しつつ何度かメールのやりとりをし、編集部に直接お伺いすることとなりました。指定された場所は...本棚から引っ張り出したバックナンバーに書かれている住所と一致しました。この時点で振り込め詐欺を疑うことをやめました(笑)

編集さんと直接お会いし、ぜひ今後もやっていきたいことを強くアピールしました。そして話題がF-2のAESAレーダーやFLIRの話題になったところ、じゃあぐりさん(本名で、ですが)、もう少しやってみませんか?となり、追加でさらに2000字+2000字の合計4000字ほどやることになりました。締め切りまで三日しか有りません。本業のリーマンをこなしつつ、なんとか二日で仕上げて提出となりました。

航空情報(酣燈社) 2009年 08月号

・AESAレーダーって何? ・FLIRって何? ・F-2スーパー改 (合計6ページ)
そして、この号が発売されるちょっと前に次号の執筆依頼が来ました。
しかもトップ記事で、記事の量は前月の2倍近い10000字と言うじゃありませんか。
また、思わず立ち上がって驚きました。
うん、やっぱアピールするのって大切だよね。編集部に挨拶行かなきゃそれっきりだったと思う。

原稿依頼はこうやって、来る!

通常、電話かメールにて編集者から執筆の依頼が来ます。毎月依頼の来る時期はほとんど決まっています。「国産機の特集を組むから、ぐりさんにはFSXで日本が得たもの失ったものという題でお願いします。字数は8000字です。締め切りは○月○日です。」みたいな感じに来ます。ここで、簡単な打ち合わせが入ったりします。
原稿依頼は基本的に400の倍数で計算されることが多いようです。昔使ってた400字詰め原稿用紙の名残でしょうか。(たまにページ数でも来ます)1ページあたりの文字数は写真多めで800字、文字多めで1600字ぐらいとなります。

原稿を受注したら、最新の記事ならネットでプレスリリースを集めたり、古い昔の話を記事にするなら図書館に行って本を借りてきたり、本を買ったり(原稿料の経費で落ちるのでその分は課税されない!)資料を集めて、後はひたすら読書の時間です。一つの記事を書くのに、その数十倍を読む必要があります。
うれしいのが編集部に「資料ください!」とお願いすると、ドガ!っと送ってきてくれることです。多いときは100ページ近くコピーを送ってくれることもあるかと思えば、本を頂いたこともあります。頂いたコピーもファイル3冊分に溜まってます。

資料を集めたら、紙媒体でやる以上誌面に制限がありますから、そこも考慮にいれながら、どんな記事にするかおおよその構成をたてます。「書くことが無くて字数制限に達しない!」となったことは一度もありません。たいてい余裕でオーバーして削るハメになります。ブログやウェブサイトなどのネット媒体は、事実上字数制限がありませんから、好きなところでやめれば良いわけです。そういうのは正直誰だって出来るんです。

限られた字数で必要な情報を取捨して埋め込む

これが出来る人がプロなんだと思います。
私?ダメ。一度フランカーシリーズに搭載する兵装」が、どうしても収まり切らなくて「フランカーシリーズに搭載する”空対地”兵装」に変えてもらったことがあります...(つД`;)
(でも10%〜20%ぐらい多くても少なくても大丈夫っぽいです)

原稿が仕上がったら、2〜3日ほっといて、また思いついたことを添削したりして、最後に何度も推敲してtxtファイルでメールで提出!と、なります。なんど推敲しても「頭痛が痛い」「危険が危ない」こういう恥ずかしいのが残るから困る(><;)

締め切りを破ったら...破ったこと無いからわかりましぇーん(・∀・)
ですが、理由無くすっぽかしたら、もう仕事がこないことは聞くまでもなく明白です(笑)

「もし、やっぱできません!と締め切り日に仕事を投げたらどうなりますか?」

とか、とんでもない質問を投げかけてみたところ、古い写真もってきてページを埋めるとか、古い記事を再掲して誤魔化すらしいです。ということは、そういうページがたくさんあったら、それは投げられたってことですね(笑)
毎月21日発売雑誌の限界点は7日前後みたいです。たいてい何日か余裕を見た締め切り日が提示されます。また10日の取材レポを11日午前中に提出して、21日発売の雑誌に間に合わせたことがあります。恐らくこれが本当に限界の限界の締め切り日でしょう。
ですので、月初めはライターにとって一番忙しい時期でもあります。提出した原稿は編集者の手に渡り、これでライターはお役ご免になります。次は締め切り前に集中して提出された原稿を前に編集者が忙しくなるわけです。
そんな状況を知ってか知らずか、私は「さ〜終わった終わった遊ぼう遊ぼう(・∀・)」と、なるのです。
ただ、「ここんとこよく分かりません」とか質問が飛んでくる場合があるので、油断はできません(笑)

続く...


(更新日:2010年5月27日)


目次へ戻る



2000字でまとめるはずが、2500字超えてた。(ノ ∀`)タハー