2005年 ネリス基地ラスベガスエアショー Aviation Nation2005 飛行展示編午前の部

地上展示編に引き続き、飛行展示編午前の部です。
Aviation Nation2005は11月13日および14日の2日間にわたり行われましたが、若干の違いこそあれ基本的なエアショープログラムは変わりませんでした。ゆえに、写真は初日と二日目を混ぜて掲載します。
二日目は見て楽しむ事にしていたので、あまり多くの写真を撮影していません。特に明記しない限り一日目を基準として進めます。
雲ひとつ無い晴天は初日、やや雲のある晴れが二日目の写真と思っていただければおおむね間違いありません。


地上展示編

飛行展示編(午後)

サンダーバーズ編

■飛行展示編午前
朝一番で基地に入場し1時間ほど地上展示を見てまわっていましたが、F-16が離陸のためタクシーを開始しました。
これはゆっくり地上展示など見てられんと言う事ですぐに最前列確保へと向かいました。
まだ朝早いのかガラガラでエアショー会場中央部でも余裕で最前列に並ぶ事ができましたが、周りは日本人と思わしき東洋人だらけです。脚立とバズーカカメラ持ってるのは日本人しかいません(笑)



プログラムの一番手はF-16ですが、その次のB-25爆撃隊デモのためB-25が目の前をタクシーしてきました。
レシプロ機のアイドリング時のプロペラ回転数はとても遅いです。シャッタースピードをかなり抑えないと写真がさまになりませんね。



"from your left F sixteen Fightingfalcon!"
F-16が離陸を開始しました。エアショーのスタートです!
滑走路が南北に走っているため、午前中は逆光になってしまうのが難点ですが、雲ひとつ無い快晴です!



F-16は比較的ベイパーが出やすい戦闘機とは言えネリスは乾燥しきった砂漠の上に造られた基地です。凄い勢いベイパーがで出ていますね。



F-16で一番お気に入り写真。光り輝く衣が美しいです。逆光も悪いばかりではありません。



ナイフエッジパスに、ありがちな低速飛行を行い着陸です。
ヒル空軍基地所属、西海岸F-16デモンストレーションチームでした。
内容的には三沢のF-16デモンストレーションチームと大差はありません。そう言う意味では見慣れた。と言える展示でした。



F-16が着陸してすぐに、先ほどタクシーしていましたB-25 2機による爆撃デモが始まりました。
F-16のスピードに目が慣れてしまっているので、遅い遅い。 って当たり前ですね。


空母からの発艦を模擬したタッチアンドゴーから上昇しボムベイオープンし爆弾投下!
地上に仕掛けられた火薬が炸裂し、凄い炎と爆音があがり噴煙のなか悠然と正面を通過していきます。


「空母からの発艦」でこのB-25が何を模擬しているかは分かる人にはお分かり頂けた事でしょう。
そう、東京発空襲を行ったドゥーリットル飛行隊です。
アナウンスでも"トウキョウ" "ドーゥリットル"といった単語を聞き取る事が出来ます。

何度か爆撃を行った後に、最後は駄目押しの2機による爆弾投下!
今までの倍の炎があがり、熱線が観客地域を襲います。


東京爆撃任務を終えたB-25はブレイクし着陸に入ります。
私がB-25に感じた印象は「遅い」の一言に尽きます。もちろんジェット機を基準としての話しですが(笑)



B-25が着陸するや否や次の飛行展示T-33真紅のTバードによるデモンストレーションが始まります。
T-33は2000年ごろまで航空自衛隊で現役でしたが、墜落事故を機に全機が退役してしまいました。私が始めてエアショーに行ったのは99年の厚木基地でしたから、本当に僅かのすれ違いで日本でT-33を見ることがなかったので、今回見られたことを少し嬉しく感じます。



いくら練習機とはいえ、原型は陸軍航空軍〜空軍発足当時主力を努めたP-80/F-80シューティングスターです。
ウイングチップタンクのせいかロールレートこそすこぶる悪い(笑)ですが、機体こそジェットながら疾風や烈風と同世代の機が優雅に飛行する姿はさすがです。
ちなみにエンジン音はターボジェットの割に全く耳障りな感じは無く、驚くほど静かです。T-4やT-1より遥かに小さい音で、本当に近くに来なければ全く音が聞こえません.



T-33が着陸して一息ついていると、右、右、ミグ来てるーーー!
MiG-17のデモンストレーションフライトの開始です。休むヒマも有りませんよ!


本来この機体アフターバーナーを搭載しているはずなのですが、明らかに使用していません。
それでいてもT-33より、世代あとだけあって、旋回性、加速性はけた違いに高く、特に上昇力は素晴らしいものがあります。


MiG-17が飛んでるというのに空気の読めないT-33がタクシーしてきました。目の前ではMiGが飛行しているし、地上ではT-33が至近距離を通るし、どっちを選べばいいの!!?
ともあれ、先ほどのフライトお疲れ様でした。手を振って先ほどの素晴らしいフライトに応えましょう。


低速を高速で突っ込んできたと思ったら、そのまま米粒大に見える大きさまでズーム上昇するなど、
この戦闘機がとても50年前の設計であると言う事を感じさせません。
同世代のF-100やF-86も今回参加していれば面白かったのですけれどもねぇ。
MiG-17なんてヤラレメカ、空とぶ標的機ぐらいにしか思っていませんでしたが、やはり身近な場所にあるとその感情も変わってきますね。


Landing!



MiG-17が着陸して息つくヒマも無くチェコ製L-39アルバトロスを3機使用する民間のアクロバットチーム
愛国者こと「PATRIOTS」が離陸します。ミグに引き続き旧東側機の連荘です。しかし、民間って凄いですよね…。
発音的にはペイトリオッツと聞こえるのですが、カタカナ表記ではパトリオッツかペトリオッツのほうが一般的呼称なのかな?
しかし、次の出番はこのチームではありません。その前にフォーミュラーワンクラスのエアレースがあります。


沢山のエキシビジョンレース参加機が離陸します。


やべえ赤いMiG-17カッコよすぎる!!フレスコに惚れちゃいそうです。
F1クラス機が飛行する中、先ほど着陸したMiG-17が目の前をタクシーします。赤い派手な塗装が本当似合いますね。


折り返しのポールも立っていませんし、あくまでもエキシビジョンレースなのですが、
なかなか迫力があります。エアショーといえばリノ。 来年はリノにいっちゃおうかな(笑)


F1クラスエアレースも佳境に入った頃、次の次のデモンストレーションであるベトナム近接航空支援にむけて参加機がタクシーします。
前からA-37セスナドラゴンフライ AC-47スプーキー A-1スカイレーダー×2 OV-10ブロンコです。
ちなみにドラゴンフライは小さいくせに下手な戦闘機よりウルサイです(笑)


エアレースデモが終わると、先ほど離陸したペイトリオッツが戻ってまいりました。赤白青のスモークを交互にタイミングよく切り替える軌跡がとても特徴的で、こうした断続的な軌跡を多用していました。ただ、青空に青のスモークはいただけません(贅沢?)
右の人はペイトリオッツの地上スタッフで、軽快なアナウンスを踊りながら(笑)披露します。この人が言うには、どうやらスモークシステムは自動のようですよ。



赤白青のスモークの色はアメリカの星条旗で使用されている3色ですね。
写真のような緻密な編隊もさることながら、ペイトリオッツは3機が大空を広く使い、各機が様々な場所で同時に色んな機動を見せる演技が特徴的です。右に左にと、とても広角ですら入りきらないほどなので、こればかりは実際で目で見る他体感できる手段は無いと思います。


タイミングビンゴ!
…でもあまりにもタイミングが合いすぎて何の写真だか分かりません(笑)
2機編隊とナイフエッジでのソロが交差した瞬間です。


す、すんげーーーーー!ジェット機なのにテイルスライドですよ!!
なんていうか、さすが東側機…。


ハート。このあと真中をソロ機が射抜きます。100-400mmのレンズでは勿論撮影できません(笑)
広角をつけて準備万端にしていた二日目は、何故かハートやってくれませんでした.残念。


L-39アルバトロスは分かりやすくいえば東側のT-4。むろん亜音速攻撃機としての能力も備えており、爆弾のほかエイフィッドやサイドワインダーも装備可能です。
ただ、この飛行展示を見る限り、旋回性・上昇性など機体性能はT-4が勝っていると感じられました。


最後はピッチアップブレイクで着陸進入に入ります。


ナレーターのオジサンは走りながらペイトリオッツの帽子を10個ぐらい観客席に放り込んで(欲しかった…)
着陸したL-39に向かい、翼に乗って観客に挨拶します。素晴らしい飛行とナレーションに拍手で応えましょう!



さて、飛行展示編その1午前の部も最後に入りました。その1のクライマックスを飾るのは今回の目玉。ベトナム航空戦デモンストレーションです。
ベトナム航空戦ではシナリオに沿って行われます。
大まかに説明すると米軍のパイロットが撃墜されたためレスキューを派遣しますが、近くにはキレたベトコンがウジャウジャいるため、まず航空機による地上制圧を行った後に、レスキューが降下しパイロットを救出し脱出。という筋書きになっております。

そしてこのデモの大きな特徴は、指揮をとる前線航空統制官と参加機による通信が会場に設置されたスピーカーから流され、まるで本物の戦争を見ているかのような演出が行われるという事です。


先ほどタクシーした参加機が次々に離陸します。

OV-10ブロンコ。今回FAC(前線航空統制官)として各機の攻撃の指揮をとります。
コードネームは「Nail:ネイル」


A-37ドラゴンフライ。攻撃機として参加します。
コードネームは「Dragon:ドラゴン」
先ほどOV-10がスモーク撒き散らしたせいで真っ白です!(笑)


AC-47スプーキー。ガンシップ機として参加します。まだスモークが残っています(´ー`;)
コードネームは「Spooky:スプーキー」


私が一番好きなレシプロ機A-1スカイレーダー。攻撃機として常に2機で参加します。
コードネームは「Sandy:サンディ」


OV-10が上空を通過します。
攻撃機に指示を出しますが、英語の通信はラジャー、ウィルコ、クリアードホット意外何を言っているのかほとんど分かりません(笑)
以下は推測です。

「501中隊よりFAC。うちの 鬼 隊 長 を 爆 撃 してくれないか?」(いや、そもそもコンバットレスキューだってw)

「ネイルより501中隊。ラジャーww、すぐ攻撃するw」


ネイルことブロンコがスモーク弾頭のロケットを撃ちこみます。

「ネイルよりサンディ、スモークをターゲットに500lbs爆弾を二発ぶち込んでやれ。」



「こちらサンディ。ウィルコ。500lbs爆弾二発投下。」

「ネイルよりサンディ、交戦を許可する。くれぐれも誤爆するなよww」

「サンディ。ラジャー。」


「Booooooooooooooooooom!!」
(もうすこし、引いた画を撮れれば炎もちゃんとフレーミングされて最高でした…)

「501中隊よりFAC!誤爆している!隊長が負傷した。すぐに爆撃を中止せよ!(しめしめ)」


と、こんな感じで次々と攻撃機がベトコンどもをぶっ飛ばします。最っ高に面白いです(笑)


「I'm HIT! I'm HIT!」
悪事の片棒を担いだOV-10は37mm砲の破片を喰らったようです。(違うって)



AC-47はずっと左旋回し、ミニガン2門を会場に照準し続けます。
OV-10の交戦許可「Spooky cleared HOT!」の通信と同時に、会場正面で「ババババババ!!」と連続した機関銃の着弾音とともに小さい噴煙があがります。



「Nail, Dragon cleared HOT!」
(意訳:ネイルよりドラゴンへ、アカのケツを蹴飛ばしてやれ!)
え、ドラゴン?どこどこ?


うおおお、右から超低空を高速で突っ込んできました!!速いです!



どどどおおおおおん!すげーーーーーーーーーー!
「Weapons HIT! Weapons HIT!!」

もっとも、実際こんな高度で爆撃したら遅延落下爆弾でも使わない限り自分も被弾するでしょう(笑)



攻撃進入〜離脱するA-1。ドッグファイト風に撮れました。
ああ、これで前にMiG-17が飛行していれば最高なんですが…A-1はベトナムでMiG-17を2回も撃墜しているのです!


こんな感じで20分近くもの間。各機2〜3回反復して苛烈な航空攻撃が加えられます。



「ジョリー IPインバウンド」
会場にワルキューレの騎行のBGMが大音量で流れます。
UH-1ヒューイ レスキューヘリ、コードネーム「ジョリー」が右から進入してきました。まさに地獄の黙示禄!


やや後方からもブローニング.50calを装備したガンシップ機もやってきました。

「よく女子供が撃てるな」

「簡単さ、動きがノロイからなーーー!ひゃはーーベトナムは地獄だぜーーー!」

まさにフルメタルジャケット!

このページ、もし愛国心あふれるアメリカ人が見たら激怒するかもしれません(´ー`)


発煙筒を焚いて待機するパイロットのもとにジョリーが強行着陸します。

もちろんFACや攻撃機は上空に留まり、レスキューを支援します。


さぁ、パイロットは自力でUH-1に乗り込み離脱です!

Mission Accomplished!


最後に参加した各機が挨拶に降下してきました。
地上のアナウンサーが機上のクルーたちに呼びかけ、彼らは無線でそれに応えます。


OV-10ブロンコ


A-37ドラゴンフライ


A-1スカイレーダー


AC-47スプーキー

そして各機は着陸し、盛り上がりをみせたベトナムデモンストレーションは幕を閉じました。



最後に参加各機の離陸前の勇姿です。最高に面白かったですよ。


ベトナム戦争航空戦動画編公開中
こちらも併せて見ると面白いかもしれません。

ベトナム航空戦デモンストレーション終了後はサンダーバーズエンジンランアップ展示が行われますが、これはウルサイだけの騒音ショーなので写真は掲載しません(笑)

飛行展示編午後の部に続きます。

地上展示編

飛行展示編(午後)

サンダーバーズ編

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