撃墜されたF-15イーグル


1995年11月22日午前8時38分。小松基地沖合いのG空域において小松基地303飛行隊所属F-15Jイーグルが朝っぱらからACM訓練中、誤ってAIM-9Lサイドワインダーを発射してしまいウィングマンを撃墜してしまうという事故がありました。

原因は当初何かしらの理由による「暴発」であるとパイロットの証言があったため、暴発と発表されました。しかし数日後にそのパイロットは嘘の証言をしていたことが判明し、本当の原因はマスターアームスイッチ(安全装置)がARMに入っており、いつでもミサイルが発射可能な状態であったことに気が付かずに発射ボタンを押してしまったためだそうです。
幸いにも被撃墜機のパイロットはサイドワインダーが命中する前に脱出し後に救助されました。

誰から聞いた話かは忘れましたが…ミサイルの一部を作ってる工場のオヤジさんは「ウチで作ったミサイルシーカーちゃんと動いたんか〜よかった〜よかった〜。」と言ったそうな。

さて、その撃墜され海に沈んだF-15イーグルは引き上げられました。
とあるちょっと規模の大きいゲームセンター(小さな遊園地ってとこか?)になぜか展示してあります。

いえ、正確に言うと展示ではなく転がってます。

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自衛隊の主力インターセプターであるF-15イーグルがこんなところに無造作に置いてあるのは…(^^;
しかもただのイーグルではなく世界で唯一撃墜された自衛隊のF-15イーグルといういわくつきの機体が…いったいどうやって入手したんでしょう?謎が深まるばかりです。


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 コックピットの中はさすが海から引き上げただけあってボロボロです。しかし最強のF-15イーグルには違いありません。計器類はほとんど取り付けられたままですし、スイッチ類は十分判別可能な状態で残っています。

 操縦桿の先端が折れて無くなっているのは残念...!動かしてみたところ縦軸は動くのですが横はまったく動きませんでした。結構稼動範囲大きいですよ。二本のスロットルはびくともしませんでした。



 上のコックピット写真でいうと2本のスロットルレバーに調度隠れているあたりの計器の写真です。ARAMAMENTとかかれていることから兵装関係の計器であることが容易にわかります。クリックして拡大してみてください。
 右側に「MASTER」とかかれたところにスイッチがあり ARM/SAFEとかかれています。これがうわさのマスターアームスイッチであるのに間違いありません。ARMで発射可能状態SAFEで安全状態になります。


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 GUNとかかれているあたりはそのまんま機関砲に関する計器で HIGH/LOWとかかれているスイッチはバルカン砲の回転数を切り替えます。HIGHで6000発/分、LOWで4000発/分となります。ROUNDSというのは確証は持てませんが装弾数ではないでしょうか?
 さらに白い線で翼の形がかかれており、いくつかの窓がありますが、そのうち太い白枠で囲まれている窓はその場所に搭載されているミサイルの状態を示すものでしょう。太い枠線の無い大きな3つの窓は外部搭載タンクっぽいですが…まず間違い無いと思います。



シート左手側のコントロールパネルです。ここには興味をそそるようなモノがたんまり…ふふふ…。しかし見てわかるとおり半分はずれてて一部かぶさったりしているので見えないものもいくつかありました。さて、こちらの解説を少々してみます。


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個人的にもっとも興味を引いた電子戦、およびレーダーに関するパネル部分です。倒れ掛かっているスロットルのせいで真上から写真が撮れずに見にくい写真になってしまったのが残念です。

まず写真下のほうにある二つのスイッチがあるパネル。J/TEWS(戦術電子戦システム)と書かれていることからECM(電子妨害手段)/RWR(レーダー警戒受信)であることがわかります。F-15JのTEWSはアメリカがTEWSの供与をしぶったため独自開発されたものを装備してます。アメリカは独自開発していることを知ると、先ほどは渋ったくせに「私たちと同じTEWS使いなさ〜い」と傲慢にも言ってきたそうです。RWRと書かれているのはレーダー警戒受信機の切り替えに用いAAA DEFATと書かれている方にすると対空砲レーダーを無視する設定にするのだと思います。

右側のICS(機内搭載妨害システム)の状態を設定します。ちょっと写真の角度が悪いですが[MAN/AUTO/STBY]の3つ切り替えになってます。STBYはスタンバイ。つまり待機状態です。AUTOの場合はレーダー波が照射され場合自動的に反応し妨害電波を放出します。MANはマニュアルでパイロット自らが行うのでしょう。ということはECMをかけるスイッチがどこかにあるはず。
上側のレーダーパネルの一番下にある MODE SELはレーダーモードの選択A/Aは対空レーダーモード、A/Gは対地レーダーモード、それぞれさらに細かいサブモードの選択を行います。

その上にならんでる6つのスイッチのうち、右側3つは下からAZ SCANは「アジマススキャン」の略でアジマス方向(水平軸)のレーダー走査範囲を設定します。わずかに20,120の数値が見えますが前方20度の範囲(左右10度ずつ)、前方120度の範囲(左右10度ずつ)を走査することを意味します。

EL SCANとあるスイッチは「エレベーションスキャン」の略で、通常レーダーアンテナは左右の首ふり意外にも上、正面、下と俯角を変えて走査することにより、上方下方の広い範囲を走査できるようにします。このスイッチで俯角を1度や2度ずらしてやることができます。わずか1度の違いですが遠距離を探知するレーダーですのでてきめんに効いてきます。

一番右上にあるスイッチはレーダーレンジ、つまりレーダー視程距離を調整します。10〜160の数値がありますが単位は海里です。つまり160に設定すると実に300Km先の航空機を探知できることになります。

左側のスイッチはちょっと勉強不足でわかりません……
下からMODE CONTR、SPL MODE 、FRAME STORE、POWERとあります。少なくともPOWERはレーダーの作動/停止に関するスイッチだと思われます。OFFで停止、STBYで待機(OFFにすると起動に時間がかかるためアイドリングしている)、残りの二つのモードは起動中を表します。

F-15J

なおF-104も大量に放置されています。
通路の片隅においてあるF-104スターファイター。これを戦闘機だと判別できる人はいったいどれだけいるのだろうか!?
F-104の機首。私もこれには教えられるまで全然気がつきませんでした。何かのオブジェかと…(^^;
F-104スターファイターは再び現役に舞い戻った。ただしテーブルとして……尾翼をテーブルにしたオシャレ(?)な休憩所
F100エンジン。一見きれいに見えますが、裏側に回るとぐちゃぐちゃに壊れています。
2基あると言う事はあのF-15Jのもの?


F-104
さて、この美しいF-104スターファイター戦闘機697号機の現役バリバリで、日本の戦闘機ファン憧れであったころの写真。1980年7月の沖縄で撮影されたものです。
「この世をば我が世とぞ思ふ望月のかけたる事も無しと思へば」

 F-104
そして21年後の2001年。今や「過去の栄光」を少しも感じられない状態で公道に放置されているF-104Jスターファイター697号機……
「一度生を得て滅せぬ者はあるべしや」

ボロボロになった戦闘機を見るとなんか悲しくなります。いずれF-1やF-4EJもここに転がるようになるのでしょうか……

F-104J697号機の在りし日の写真はあほやさんのコントレールより転載させていただきました。ありがとうございます。