ダックスフォード フライングレジェンド 2008年夏
Duxford flying legend 2008

フライングレジェンドはダックスフォード帝国戦争博物館において、年に1回開かれる第二次世界大戦をテーマにしたエアショーです。
例年7月に開催され、スピットファイアを筆頭に数十機のウォーバーズが、所狭しと暴れまわります。
本来、同日に別の飛行場で開催される筈だったロイヤルインターナショナルエアタトゥー(RIAT)を目的として渡英していたのですが、11日金曜日に降った大雨により、駐車場が使用不可能になってしまったため、RIATの開催が中止されてしまいました。そこで急遽予定を変更し、事前に開催情報を得ていたフライングレジェンドを楽しむ事にしました。

2年前にダックスフォードを訪れた際は鉄道を使用しましたが、今回はレンタカーです。宿泊地グロスターからスウィンドンへ、そこからM4線に乗りロンドン方面へさらにロンドンの外周を走るM22線に乗り、北方面へ向うM11線に乗り、10番出口で降りる。降りたら目の前がダックスフォード。と、片道約100マイルのちょっとした長距離ドライブになりました。幸い渋滞らしい渋滞も無く、ほぼ予定通りの時間に到着しました。
入場料は29ポンド(約7000円)で、カラーのプログラムが5ポンド(1200円)です。
プログラム売ってるおねーさんに間違えて5ユーロ札を渡してしまい、苦笑いされてしまいました。恥ずかし(ノ∀`)

さて、今回飛行展示を行う機種をご紹介しましょう。入場料とは別に5ポンドを支払うとフライトラインに入る事が出来ます。
フライトライン開放は午前中のみで、午後からのフライト開始時に閉鎖されます。
通常どおり博物館も開館していますので、早めに訪れて飛行展示の前に館内を見学するのも良いでしょう。

■戦闘機

さすがバトル・オブ・ブリテンの救世主だけ有ってスピットファイアの稼動数は半端では有りません。
今回11機のスピットファイアが勢ぞろいしました。生産数の多い代表的なタイプがほぼ網羅されています。
その他の戦闘機も併せ、順番に見ていきましょう。

・スーパーマリン スピットファイア Mk.Ia

Mk1aはバトル・オブ・ブリテン時の主力型。主翼内に7.7mm機銃を8門搭載しています。
エンジンはマーリン2 1030馬力。スピットファイアといえば、やはりMk1ですよね。

・スピットファイアF Mk.Vb

F Mk5bは最も多く生産された代表的なタイプで、戦争中期の主力機です。
本機は20mm機関砲2門と7.7mm機銃を4門搭載しています。
マーリン45 1515馬力に換装されました。 機銃以外見た目の違いがわかんないよおおおおおおおおおお!
この機の塗装は、亡命ポーランド人の飛行隊のものでしょうか。

・スピットファイアF Mk.Vb

F Mk5bの主翼端を切り落としたタイプ。速度がやや向上し旋回性能が落ちています。
Fというのはエンジンの過給器を中高度(4000-6000m)に最適なように設定した型を意味します。
高高度型(7000-9000m)はHF。低高度型(-3000m)はLF。写真偵察型はPR。偵察/戦闘型はFR。
最後のaやbは武装を表し、aタイプの場合は7.7mm機銃が8門、bタイプの場合は20mm機関砲2門と7.7mm機銃が4門搭載しています。

・スピットファイアF Mk.VIII

Mk8は左側(向って右)のラジエーターが大型化し左右同じ形状になりました。また排気管の数も増え、プロペラも4翔になりました。
燃料タンクの増設によりスピットファイアシリーズ最長の航続距離を得ました。
Mk8は7.7mm機銃が4門にオプションで、20mmがさらに2門搭載可能なcタイプの武装のみです。
エンジンはマーリン61 1561馬力。

・スピットファイアF Mk.IXb

Mk5に次ぎ多く生産されたのがMk9です。中期〜後期の主力機です。
Mk5からも少なくない数がMk9仕様に改造されています。エンジンはマーリン61 1561馬力。
スピットファイアはMk24まであるため覚えにくいのですが、最低Mk1 Mk5 Mk9の三タイプを覚えておきましょう。この3種の合計で約15000機に達し全生産数の6割以上を占めます。

・スピットファイアF Mk.IXe

eタイプの武装は20mm機関砲2門に12.7mm機銃を2門搭載 12.7mmは20mmのすぐ内側にあります。
対戦闘機には理想的な装備です。

・スピットファイアF Mk.IXe

Mk9の後期型。バブルキャノピーに改変されています。
一瞬P-51Dに見えてしまいました。

スピットファイアFR Mk.XIVe

Mk14eはいわゆるグリフォンスピットです。この機も主翼切断タイプです。
グリフォン65 2035馬力に換装され、5翔プロペラ、長くなったノーズ、大型化したラジエーター、そしてバブルキャノピーとあいまってシルエットが大きく変わっています。
ブローニング12.7mmとイスパノスイザ20mmが他の機とは逆に装備していておかしいな。と、思ったらどちらでもOKなようです。
バブルキャノピーのスピットファイアは、らしくないですね。FRは戦闘偵察型です。

・スピットファイアFR Mk.XVIIIe

F Mk18eはグリフォンの大燃料消費に対応する形で燃料タンクが増設されました。
ヨーロッパでの戦争が終わってからの生産です。

・スピットファイアF Mk.XVIIIe

同じくMk18です。スピットの型番調べるのに燃え尽きました…。

・スピットファイアPR MkXIX

PR Mk19は写真偵察型です。PRはすなわちPhoto Reconの略です。
グリフォンエンジンに二重反転プロペラと特徴的ですが、大戦中にこのような型は有りません。
戦後に所有した個人がアブロ シャックルトン哨戒機のプロペラに取りかえたものです。

やっとスピット終わりました。特徴を見つけてそこから型番調べるのに燃え尽きました…。

・ホーカー ハリケーン MkIIc

Mk2cは20mm機関砲4門に換装したヤーボ型。ハリケーンは7.7mm12門のハリネズミ型のほうが好きです。

・ハリケーン Mk.XII

Mk12はカナダ生産型。

・シーハリケーン Mk.Ib

艦載機型。商船に簡易飛行甲板を取り付けた船団護衛用の簡易空母で運用されました。

・ノースアメリカン P-51D

マスタングまとめて。この他にも2機が後でやってきました。P-51D-20 -25 -30とあるようですが。
よく分かりません。分かろうともしてませんヽ(;゜ー゜)ノ
右の機は爆弾装備ですね。

・TP-51D

複座のマスタング。格納庫でギアの収納展開の確認をしていました。

・グラマンキャッツ

公式プログラムにグラマンキャッツって書いてありました。猫じゃないのも混じってるけど気にしないでください。

・ゼネラルモーターズ FM-2 / F4F ワイルドキャット

グラマンF4Fワイルドキャットですが、ゼネラルモーターズ製のものをFM-1及びFM-2と呼びます。
英国にレンドリース法で貸与されたF4Fは”マートレット”と呼びますが、FM-2はそのままワイルドキャットと呼ばれました。
零戦に一方的にボコられたというイメージしか有りませんが、実はキルレシオはほとんどトントンだったようですね。
ウォーバーズとしては少数派の中翼機で、太い胴体、足の収納の仕方といい、敵ながらどこか憎めません。

・グラマン F6F ヘルキャット

こちらは米海軍塗装ですね。しかも7つも撃墜マークつけてやがる。
このエアショーでの数少ない日本の要素。お前はうちの爺さんの仇だから嫌い。ムキーヽ(`д´#)ノ
(ウソ。じいさん二人とも平成まで生存。)
太平洋戦線で活躍した戦闘機の、イギリスにおける人気ってどうなんでしょう。あまり高くないような。

・グラマン F8F ベアキャット

大戦終戦ギリギリに就航したため実戦経験は殆ど無し。
戦闘機のジェット化に伴い早々に退役してしまったため、スカイレーダーは70年代まで現役だったのに影が薄い。
エアレース仕様の改造機が850km/hのレシプロエンジン機としての最高速度を記録しています。

・グッドイヤー FG-1Dコルセア / F4U

空母搭載しないように設計された艦上戦闘機として有名ですね。FG-1はコルセアのグッドイヤー生産機。
タイヤメーカーのグッドイヤーです。ちなみに独自の飛行機も作ってます(関係有りませんが)
このアングルでは分かりませんが、本機は英国海軍仕様のコルセアMk2です。

・ベル P-39Qエアラコブラ

大戦機としては珍しい前輪式の戦闘機。重いエンジンが後ろにあるのによく尻餅つきませんね。
あまり興味のない戦闘機ですが、飛行する姿はなかなかキレイでした。
しかし、これ脱出できるのか…

・カーチス ホーク 75 (P-36)

P-36ホークのフランス輸出型。ドイツのフランス侵攻に対抗しました。

・カーチス P-40B/Nウォーホーク

P-36ホークを原型とした発展型。左はB型。右のN型はP-40系列の最終生産型です。
水冷エンジンに換装された上に共通点が殆ど無いほど大幅な改良が加えられたため、シルエットが全く違います。

・ヤコブレフ Yak-3U

ソビエト機も参戦です。ソ連戦闘機は日本製にも劣り、ドイツに一方的にやられたとか思ってませんか?
本機は中高度で650km/hに達します。単純に速度だけで比較すると疾風とほぼ同等と、日本機に劣らぬ性能を持っています。
ベテランが搭乗したYak-3はBf109GやFw190D-9と対等以上に戦えたようです。

・イスパノスイザ HA-1112-M1L / Bf109

なんかこのメッサーシュミット変だぞ…?顎が出てるし翼の形状も違和感あるし…。
と、おもったら、やはり戦後にスペインのイスパノスイザで開発されたマーリン搭載型、いわゆるイスパノメッサーでした。
空軍大戦略やメンフィスベルなどでも使われたそうです。

・ホーカー ニムロッド

1933年に就役した大戦前の艦上戦闘機。対潜哨戒機ではありません。

・グロスター グラディエーター

複葉機のほぼ最後の世代。密閉式風防や流線型の胴体を持ち、これで足の収納機構と上段の主翼さえなければ殆ど第二次大戦機のスタイルを持っています。翌年にはハリケーン、翌々年にはスピットファイアが登場。実用化した時点で既に旧式化してましたが、大戦終結まで運用されつづけました。
艦載機型がニムロッドに代わり就役しています。

・ホーカー ハインド

攻撃ヘリではありません。ホーカーハートから発展した複座軽攻撃機。33年採用。
大戦勃発時にはイギリスの実戦部隊からは全機が退役済みでした。

■爆撃機・輸送機
フライングレジェンドは戦闘機だけでは有りません。爆撃機やその他の飛行機も多く飛行しました。

・ボーイング B-17G フライングフォートレス

やっぱしありました。お約束「メンフィスベル」です。
映画で使用されたB-17Fは機首の左右に爆撃手と航法士用の機関銃が有ったのですが、本機には有りません。
この機の反対側には…↓


しょうがくせい、ちゅうがくせいのおともだちは、みてはいけません!
と言うわけで18歳未満でご覧になっている方も多かろうと、モザイク処理させていただきました。
子供も来るのにこんな卑猥なノーズアートの機を置いておくなんて…。クマさん凶悪すぎます(そっちかい)

・B-17F フライングフォートレス

当時の搭乗員を真似たコスプレ?が素晴らしい。1943年撮影風にレタッチしてみました。
黙ってれば誰も2008年に撮影したなんて思いませんよ。きっと。
(もうちょっと汚した方がリアリティがあるかも)


「カラー写真で見る第二次世界大戦」風にしてみました。背景でモロバレバレですが(^^;
TIME誌など、わざわざ当時の表紙を選んでいたり芸が細かい。

・ノースアメリカン B-25J-20 ミッチェル

機首同軸機銃の無いB-25なんてB-25じゃない!

・ダグラス A-26インベーダー

12.7mm機銃8門のガンシップ。よくインベーダーなんて刺激的な名前を付けましたね。

・ユンカース Ju52

ユンカースといえばこの機、ユンカースおばあさんこと、タンテ・ユーですね。
波型外板が実に良いですなあ。

・バイエルン Bf108

Bf109の原型となった軽輸送・連絡機。垂直尾翼の形が似てます。

・Bu131 ユングマン

第二次大戦前のドイツ空軍の初等練習機。

・ダグラスDC-3

史上最多生産された輸送機・旅客機DC-3。C-47/C-53と同系列機。
ノルウェーが本機を採用してから2003年で60周年だったそうです。

・ブレリオXI

一気に古くなりました。初飛行1909年の超骨董機。
設計者ルイ・ブレリオの操縦により史上初の英仏海峡横断に成功しました。
エルロン無し、エレベーター無し(翼を捻り制御しました)、かろうじて全動式ラダーは有り。この機も飛行しました。すげえ。

エアショーはこれから飛行展示に入ります!

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