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F-14FAEW警戒機。このような機種は世界的に見て初めてであり、その挑戦的フォルムに驚かされる。
【今日のF-14特集】
前線早期警戒機F-14FAEW


米海軍F-14を改造した早期警戒機が2004年1月10日にロールアウト、2月1日に初飛行した。なお同機の主契約は警戒システムに定評のあるノースロップグラマンである。

E-2ホークアイおよびE-3AWACSは当然のごとく一切の防御力を持たないためCAPを行う戦闘機が必要不可欠であり、戦線はるか後方で哨戒を行うが通常である。
しかし、この手段は極めて不効率である、そして敵側奥地の状況を知ることが出来ない。そこで開発されたのがこのF-14FAEWで、Forward Airborne Early Warning.すなわち前線早期警戒機である。

その名前の通り前線に近い空域を飛行し哨戒活動を行う事を目的とした警戒機である。故にF-14FAEWは、トムキャットの象徴的武装であるAIM-54フェニックスの運用能力こそ失ったがAIM-120及びAIM-9による最大4発の空対空ミサイルを運用可能な自衛力を持ち、また超音速(マッハ1強程度か?)での飛行が可能であるため、敵性に対する防御力が高い。

F-14FAEWの搭載する警戒レーダーはAN/APS-151で、詳細は明らかにされていないが最大視程500Km、目標探知数は300程度であろうと推定される。管制は行わずクルーはレーダーの操作のみ行い、得た情報はデータリンクを通じ地上に送信される。警戒レーダーの能力はE-2に比べ遜色ないが、哨戒可能時間にやや限りがあるため多数機による運用が不可欠である。
なおAWG-9は搭載しておらず、AIM-120の照準にはこのレーダーを使用する。ただし戦闘機用のレーダーでは無いためSTTは備えておらず、追尾能力自体はさほど高くは無い。なおサイドワインダーの照準にはレーダーを使用できないため古典的なIRシーカーによる、うねり音で照準を行う。

不経済ゆえに退役したF-14だが、このような大型のレーダーを搭載するには大出力の発電機を必要とし、F/A-18やF-16などの比較的小型機では物理的にも無理である。
しかし米海軍はF-14FAEWにあまり興味を示しておらず、アメリカ軍での採用は厳しい見通しだ。しかし他の早期警戒機に比べて安価であるため、早期警戒機を欲するが経済的に導入の出来ないような、ポーランドやスペイン等の国が興味を示している。
なお、退役機に対する改造のみであり、当然F-14自体の生産は行われない。

FAEWの市場はおよそ200機程度が見込まれているため、ボーイングでは同様にF-15を使用したFAEWが計画中である。F-15型の警戒レーダーは、「円盤」ではなくMESAレーダーになる見通し。


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