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富士教導団戦車教導団第一中隊に配備された74式スーパー改試作型。
120mm砲・FCS・センサー・サイドスカート当大幅に改修されてる。
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富士教導団戦車教導団第二中隊に配備された90式戦車改試作型。砲が55口径120mm滑腔砲へ換装された以外あまり 目だった外見的差異はない、しかしFCS、車長用サイトが大型化している。
【陸上自衛隊】
90式戦車改、74式戦車スーパー改配備


平成17年末に富士教導団に近代改修を行った90式戦車と120mm砲を搭載した74式戦車の改修型が配備された。

現在陸上自衛隊では次期戦車(TK-X)を試作中ではあるが、緊縮予算の中では十分な数の新型戦車を配備するまでに相当な年月が掛かることが予想されている。その為TK-Xの配備が進むよりも現行の機甲戦力が陳腐化する事は確実となり、現有の90式戦車全車と74式戦車の一部に近代改修と耐久年数の延長を行う事になった。

北海道を中心に配備されている90式戦車に対して改修を2段階に分け第1段階をバッチ1として現行の45口径120mm滑腔砲を国産の新型55口径120mm滑腔砲へ換装、それに合わせ貫通力が大幅にアップした国産新型弾と誘導砲弾を搭載する。またFCS・車長用サイトも新型に換装され、夜間射撃能力・ハンターキラー能力が大幅に向上、特に車長用サイトは360度(従来型は180度)全周囲を索敵が可能となる。他C4I機能が追加され、他の戦車やヘリ・歩兵等戦闘ユニットからのデーターリンクにより自車で補足していない敵への射撃も可能となっている。

次の現在開発中の第二段階バッチ2では砲塔正面と車体側面に追加装甲を装着し防御力を中心に強化を行う。
この改修により90式戦車性能はバッチ1で現行より総合的な戦闘能力は220%アップする。バッチ2では防御力が正面で30%、側面で80%以上アップし、攻撃力及び防御力共に世界最強と言っても過言ではなく、バッチ2改修はバッチ1非改修車全車両に対して行われる。重量はバッチ1で1t増の51t バッチ2でバッチ1+6t増の57tを予定しバッチ2仕様は平成23年以降実用化を目指している。

次に90式よりも旧式・軽量な74式戦車に対しても、93年に試作したが不採用になった74式戦車改をベースとし90式戦車の改修で余剰となった45口径120mm滑腔砲、FCS等を74式用に改修した上で移植し、従来型の90式に準じた索敵能力・射撃能力・威力を獲得する。
しかし自動装填やC4I機能は予算の関係と車体スペースの関係から導入されず、防御力も74式改で採用される予定だったサイドスカートが追加された程度に抑えられている。その為車体重量は3t増の41t程度に留まっている。
また90式・74式共に各部を補強した事により90式で25年 74式で15年耐久年数が延び、90式が2060年代ごろ、74式で2040年代ごろまで使用可能となる。

現在戦車教導団第二中隊にて90式戦車改(バッチ1)を、第一戦車中隊にて「74式戦車スーパー改」(以後S改)との部内名称において評価試験を行っているが、90式戦車が比較的順調に試験をクリアーしている反面、74式S改は
120mm砲試験射撃において74式戦車の車体重量では120mm砲の威力を十分に受け止められず命中率が当初の目標を大幅に下回った他、装填スピード、居住性、携行弾数、車体バランスは改修前より悪くなるなど多くの問題点が指摘されており開発は停滞している。

陸上自衛隊では最終的には現有の90式戦車300両と74式戦車150両を改修し、90式改(バッチ1)を陸上自衛隊初のRMA化師団に指定されている北部方面隊第2師団第2戦車連隊へ、バッチ2以降を日本唯一の機甲師団である同方面隊第7師団各戦車連隊へ74式S改はTK-Xの導入が比較的遅いと予想される各師団戦車大隊もしくは戦車隊への配備を予定している。

陸上自衛隊ではできるだけ早急に両車の問題点を改善し、平成20年度を目処に量産化したい意向だが、改修費用が90式戦車改バッチ1で1両4億4000万円 バッチ2でバッチ1にプラス1億2000万円の1両計6億4000万円、74式戦車S改で1両1億8000万円程度掛かることが予想される為、部内でもTK-Xに予算を回した方がいいのではとの意見が多く、74式改の時と同様に少数の改修で終わる危険も少なくない。
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