北ベトナム共産軍(ベトコン)は総力をあげてケサン米海兵隊基地を包囲した。ベトコンは周囲を小高い山に囲まれた窪地に位置するケサン基地に対し連日砲火を浴びせ徐々に包囲網を狭めている。補給も空輸に頼らざるをえない状態だ。我々の任務はC-130輸送機を対空砲火から護りケサン基地へ無事到着させる事と基地部隊の要請に応じて地上部隊を牽制する事だ。現在位置高度30,000ft、目標到達まで1分。
MAYA「二番機niwatti、こちら隊長機MAYA。戦場管制官スカイドッグから攻撃要請が出されると目標周辺に発煙弾が撃ち込まれるのでそこを狙って爆弾を落とせ。必ずしも目標の場所へスモークがあがるとは限らない。広範囲を焼き尽くせるナパームを上手く使え、この任務は一機で十分だろう、我は高空で待機する。貴機の活躍に期待する。ブレイクナウ!」
niwatti「Roger…(本当に僕だけで大丈夫なのか?難しそう…)」
編隊を解き急降下して行く。ケサンを包囲している部隊から対空砲火がniwattiへ集中的に浴びせられる。目標を指示するスモークへ向けてひるまず急降下し、ナパーム弾を投下した。niwattiは対空砲火をくぐりつつ機体を引き起こし左へとブレイクする。引き起こしと同時に弾頭が破裂しさらには爆弾内に搭載されている燃料に引火しジャングルを焼き払った。
niwatti「…ターゲットセンターに入れてスイッチ、ターゲットセンターに入れてスイッチ…」
普段はおとなしい青年だが操縦桿を握ると仕事のプロになる。地上爆撃、対空戦闘ともにトップクラスだ。今の攻撃で対空砲一基が撃破された。一旦離脱し再突入を図る。
地上部隊から連絡が入りさらに発煙弾が撃ち込まれた。次の目標も対空砲らしい。輸送機を護るためだ。niwattiは緩降下し目標を捕らえる。依然として濃密な対空砲火はniwattiに向けられている、
その時だ。88mm対空砲がniwattiに命中!!F-105はエンジンから黒い煙を引くが射撃は止まない、さらに数発被弾した。
niwatti「ベイルアウティング!エジェクトナウ!!」
主を失ったF-105サンダーチーフは地上へと激突した。
MAYA「…一人では荷が重過ぎたか。大丈夫か?」
niwatti「まだ生きている…ケサンへ降下…」
幸いにも怪我一つ無かったようだ。包囲網のど真ん中のケサンへと降下していった。まだ無事とは言えない、この周囲では戦術的に米軍が劣勢だからだ。
MAYA「こちらオースティン1、オースティン2が撃墜された。ケサン北西1マイル。救出を頼む。」
MAYA「もう少しがんばってくれると思ったのだが…」
20,000ftで待機していたMAYA機は降下角70度、ほぼ直角に急降下する。当然ながら対空砲はこちらを狙うがそう簡単にあたるものではない。niwattiが仕留めそこなった対空砲火にナパーム弾を投下し、指揮所らしき建物にも一発投下した。数秒後二箇所から爆炎があがる。
アフターバーナーを炊き対空砲火をよける為右へ左へと旋回を繰り返しながら離脱する。
離脱する途中に見つけた対空砲にナパームを投下した。ある程度はなれた時点で再突入。新たにスモークが上がっていた。超低空を舐めるように飛行しその目標にもナパーム弾を食らわせ上昇して離脱する。とたんに対空砲火が弱まった、おそらく完全に沈黙したのであろう。同時期、ケサン海兵隊基地へ輸送機が到着し物資を降ろしはじめており、この間にも基地へは敵野砲や戦車から常に砲撃が続けられていたい。
「こちらスカイドッグ、基地の北より共産軍の戦車が突入して来るとの情報が入った。スモークを撃ち込むので大体の位置は分かると思うが当然敵も動いているのであとは自分の目で探せ、ジャングルではなく開けた道を走行中なのですぐに分かるはずだ。以上」
MAYA「ラジャー急行する……あれか、PT76戦車4両発見!直ちに攻撃し排除する。」
空からの攻撃には滅法弱いのが戦車という車両、1,000ポンド(454Kg)爆弾を2発投下し、さらにナパームも一緒に投下し辺りを地獄の火炎でなぎ払った。
「素晴らしい!ジャングルがまるこげだ!補給物資も無事受け取りに成功した。貴隊のパイロットも無事に保護した。」
MAYA「ラジャー、こちらは任務を終了しこれより基地へ帰還する。」
ケサン海兵隊基地の攻防は依然として米軍の劣勢であり予断を許さない状況にある。歴史は包囲網を突破し海兵隊員救出に成功するのだが、まだその時ではない。niwattiが無事に救出されたのも先の話しである。。
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