ｆｓ９８

～第9章　東欧州～

予定飛行時間：２時間５０分
実際飛行時間：３時間００分
飛行時刻　　　：１２００～１４５０(現地標準時)
実際飛行時刻：１２００～１５００(現地標準時)
飛行距離　　　：１３３１海里（２５２３Ｋｍ）
巡航速度　　　：３３０ｋｔ（６３０Ｋｍ／ｈ）
燃料消費　　　：６０００ガロン（６２％）

・ブリーフィング
トルコ・イスタンブールよりフランス・パリシャルルドゴール空港への東ヨーロッパの旅、飛行時間は3時間を予定しており、主な経由点はローマ、ジェノヴァ(当然FF7のアレではない)、アルプス山脈を超えパリに至る経路。日本出発、与那国島以来｢先進国｣と名のつく国々を飛行する事になる。飛行前に非常に注目しているのはアルプス山脈越えだ。フライトプランは下記のとおり、

・フライト
エンジン始動チェックリスト、第1エンジンスターターON・・・｢ひゅーーーん｣とスターターの高い音が響き渡り、しばらくすると｢きーーん｣と音が変わりプロペラの回転音も加わる。一時的にエンジン出力が増大してN1エンジン出力計が６０％ほどまで上がり、しばらくすると20％程度で安定してエンジンスタートが終了となる。第1エンジン始動確認、続けて第2、第3、第4の順でエンジンスタート。アヴィオニクスマスタースイッチオン、地上走行灯オン、チェックリストオールコンプリート。本来はもっと長いのだが、文面上では割愛させていただく。全ての手順はこちら。

午後１２時４分出発。エンジンを逆噴射し自力でバックして滑走路へ向けて方向転換する。P-3Cはプロペラの空気に対するピッチ角度を変えて逆方向に推進力を作ることが出来るのだ。方向が転換終了しオートフェザー(プロペラの角度を自動にする)に設定しアイドル出力でゆっくりと滑走路へとタキシングロードを走行する。地上走行は飛行中はほとんどオートパイロットなので、離着陸は例外としてP-3Cを操縦していて最も楽しいと思える時間でもある。地上走行は以外と難しく、真っ直ぐ走行するのも手を抜いていられない。
なお、通信機をATIS周波数にあわせてイスタンブールの天気を聞いておく。快晴で視程が１０マイル、風は穏やか、気温は１５℃ほどだ、先週は気温が３℃しかなかったのを考えると今日は非常に暖かい。だがそのイスタンブールも後数分で別れを告げなくてはならない。

滑走路前で一旦待機、今日のイスタンブールは風も穏やか。

１２時９分滑走路進入許可がでてすぐさま滑走路上へ、続けて離陸許可も出された。いつもながら離陸の瞬間ほどワクワクする事は無い。スロットルを押しこみいつも通りＮ１エンジン計９６％を維持し、排気温度をチェックして離陸速度まで加速する。操縦桿を引いて離陸、ふわりと浮き上昇を確認ギアアップ。右旋回をしながら上昇して最初のウェイポイントであるローマへと向かう。

上昇中は手動操縦で飛行する、機械任せでも支障が無いのだが(むしろ機械の方が正確)、手動の方がパイロットとしての甲斐があるというものだ。23000ftレベルオフでは自動操縦に切り替えて休憩する。機窓から外を見ると、このあたりは都市部よりずっと空気が澄んでおり、視程が飛躍的に長くなっている。雲一つ無い非常に良い天気だ。

機窓より、田園風景とが広がる。

しばらく飛行し長靴半島国家イタリアが見えてきた、東地中海を横断し食の国イタリアの領空に入る。話しが脱線するが、イタリアは湾岸戦争に十数機のトーネード可変翼戦闘攻撃機を派遣したのだが、トーネードはイタリアから戦場のサウジアラビアの基地まで無給油で飛べるほど航続距離が長くなく、途中で空中給油を行なう事にした。だがイタリアには空中給油機が存在せず、当然パイロットは空中給油の訓練など行なっていない。上層部は｢空中給油ぐらいなんとかなるだろう。｣と思っていたらしい、だが実際空中給油を行なう時になってみると、一機を除き他の全ての機体が空中給油に失敗して本国へと帰って行った。なお、空中給油に成功し無事に目的地に到着した一機は、イラク軍施設攻撃の作戦途上に撃墜され、パイロットはイラクの捕虜になっている。イタリア人の国民性は脳天気とよく言われるが、まさにそれを代弁しているかのような出来事だ。

半島を真っ直ぐ横断するルートを飛び、西海岸に位置するローマへ到着した、次のウェイポイントはジェノヴァの街、北北西に針路を変えるため右旋回を行なう、「ローマは一日にしてならず」上空から見ても非常に美しい町並みだ。この辺りはバチカン市国だろうか？

イタリアの街並み

イタリアを海岸線にほぼ沿って飛行し、昔よりの港町ジェノヴァへ到着する、半島の反対側に位置するヴェネツィアと並ぶ観光名所でもある。今度は海路都市ヴェネツィアにも行って見たいものだ。ジェノヴァを超えた辺りから曇りだし、厚い雲が地上を覆ってしまった。前方には雲より突き出たアルプス山脈が聳え立っている。アルプス山脈の標高は3000m程度、ヒマラヤ山脈へ立ち寄った以前のように高度を上げなくてはならないということは無い。スイスとの国境に入り山々が連なる、永世中立国のこの国は高速道路からSTOL戦闘機が飛び立つので有名。真っ白に雪化粧された山々はアルプスの少女ハイジを思い出してしまうのは私だけだろうか？

教えて～おじいさん～♪

アルプス山脈のとある街、湖面には氷が張り街には雪が積もっている。

シャルルドゴールパリ国際空港まであと100海里、後数十分でパリ国際空港に到着する。フランス領空にも入る、フランスの主力戦闘機はご存知ミラージュシリーズと次世代戦闘機ラファールだ。左前方にパリの街が見えてきた、針路を330から270に左旋回をして滑走路を正面に捉える、オートパイロットオフ、フラップ20度下げ、速度170kt、ILSグライドスロープインターセプト、ファイナルアプローチ。徐々に高度を下げギアダウン、フラップ40度にし、着陸速度まで減速する。平行滑走路が３本も存在する非常に大きな空港だ。右から２番目に位置する滑走路２７へ着陸する。ミドルマーカーが点灯し滑走路が目前へ迫る、フレアを掛けて姿勢を整えタッチダウン、逆噴射を掛けて減速してタキシングロードに入る。空港かなり広い空港だ、タキシングロードも複雑に絡み合っている。エプロンまで到着しパーキングブレーキをセット、エンジンカットオフチェックリストに入る。

滑走路２７R着陸

・デブリーフィング
ヨーロッパに入ったフライト、イタリア、スイスなどは、精細に作られており見るべきところが多く非常に楽しめた。次回はここ、フランスパリを後にしてスペイン、そして西ヨーロッパの最奥部大西洋に面したポルトガルの首都リスボンへと向かう。

ＢＡＣＫ