ｆｓ９８

～第10章　欧州～

予定飛行時間：２時間５０分
実際飛行時間：３時間００分
飛行時刻　　　：０５５０～０８４５(現地標準時)
実際飛行時刻：０５５０～０８５０(現地標準時)
飛行距離　　　：１３３１海里（２５２３Ｋｍ）
巡航速度　　　：３３０ｋｔ（６３０Ｋｍ／ｈ）
燃料消費　　　：６０００ガロン（６２％）

・デブリーフィング
平行滑走路3本、いままで訪れた空港の中で最大の規模を誇るシャルルドゴールパリ国際空港を飛び立つ、パリより南に向けていったん地中海に出て｢島｣へ向かい、そのまま地中海を飛びつづけ、地中海の入り口ジブラルタル海峡から大西洋に抜ける。その後ポルトガル首都リスボン国際空港に降り立つ。ヨーロッパの最西端へと飛ぶ。パリの天気はこのに到着した日とほぼ同じ天気になっている。悪く無い条件だ。フライトプランは下図の通り。

・フライト
駐機していたスポットを離れタキシングロードを滑走路へ向けて走行する。かなり距離がある、離陸する滑走路はランウェイ09R、滑走路を一本またいでさらに反対側の滑走路エンドへ向けてタクシーする。2～3Kmは走行しただろうか、ようやく滑走路エンドに到着し離陸許可を待つ。離陸許可が出た、スロットルレバーを前に倒す、少し遅れてブーンというプロペラ回転音が徐々に大きくなり加速していく。早朝でまだ日も昇っておらず、光の道を真っ直ぐ加速する。

テイクオフ！

滑走路なかほどで離陸速度になり車輪を宙に浮かす。さすが軽量で加速力の強いP-3Cだ。ギアを格納し2000ftほどでパリ市内を低空飛行する、トラフィックパターンをぬけてVORラジアルをインターセプト、街を抜けるまでこのまま低空飛行を持続させることにした。朝の5時半、空からの月明かりより街の光の方が強い、市内を低空飛行で観光していると原子力発電所らしき建物が見える。それも街のど真ん中でだ。さすが原子力先進国フランス！と思いつつも数年前のフランス地底核実験を思い出してしまう。日本ではこの核実験は非常に話題になったが、アメリカやイギリスといった核兵器保有国の国民はこの事を知っている人は少ない、何故なら自国に非核運動が起こるのを避けるために報道をさせなかったのだ。報道側が力を持っているアメリカですらだ。フランス国民はこの核実験に反対していた人のほうが多いらしい。いつの時代も政府は国民の声を反映していないように思える。

原発！

芸術の都パリを後にしいつもの巡航高度23000ftへ向けて上昇、このまま南進して地中海を目指す。しばらくすると太陽が地平線より見え隠れしてきた。東の空がオレンジ色に色づく、西の空はまだ暗い。緯度はイギリスと変わらないく、両国とも0度線を通る。だがフランスはグリニッジ標準時＋１時間なのだが、イギリスと合わせずに自国の時刻を標準として使っている。自分たちが世界の中心という考えがあるのだろう。この辺りはフランスとスペインとをちょうど隔てているピレネー山脈。

東にジェノヴァでいったんお別れした地中海が再び姿をあらわしてきた。この辺りは年間を通して風が弱く乾燥した気候、そのため綿花や葡萄といった雨を嫌う植物の栽培が非常に盛んで豊富にとれる葡萄は主にワインとして醗酵させられる。雨の少ないヨーロッパでは水よりワインの方が安いのだ。主食となるパンの原材料、小麦栽培もこの気候が関係しており、水田などのように多量の水を必要としないからだ。間もなく右旋回を行ないバレンシアVORラジアルインターセプトのため270へ針路を取る。明るくなってきた東の空から朝日が昇ってくる

ライジングサン

バレンシアへと到着し、ジブラルタル海峡を通過するために若干大回りになるがそのまま沿岸を飛ぶ。バレンシアといえばオレンジを思い浮かべてしまうのは僕だけだろうか、歩かにもレモン、ライムなど柑橘類の生産では有名な地だ。港街を飛び去るとあたり一面農村が広がっている。地上はさぞ綺麗なところなのであろう。ここはもうフランスではない、情熱の国スペインだ。スペインといえば大量のトマトをぶつけ合ったり闘牛を街に放ったりハデな祭りが世界的に知られている。闘牛士マタドールは国民的大人気だ。

前方にジブラルタル海峡が見え始めた、スエズ運河をのぞけば地中海が外海たるつながる唯一の場所ゆえに、このジブラルタルを封鎖すると欧州、北アフリカの港は全て封鎖されてしまうも同義、第二次世界大戦当時ドイツは機雷を敷設し自国の船以外の航行を完全に遮断させた。現在この海峡の両端はイギリスが統治しており、名前は忘れたが沿岸にある山には猿が生息している。｢この地の猿が絶滅する頃までイギリスが支配するだろう｣という通説があるがその根拠は無い。ただ、イギリスは縁起を担いで猿を補充している事実はある。

いま僅かな幅しかないジブラルタルを通過して太平洋インド洋そして３番目の大西洋上空に到達した。同時にスペインともここでお別れである。いったん洋上に出て海側からポルトガル首都リスボンへ向かう。あと数十分で到着予定だ。

ジブラルタル海峡

ディセントレベル２０、間もなくリスボン国際空港ランウェイ03にILSアプローチをする。ATIS周波数をリスボンに合わせ天候を聞く。温度や風、向き、気圧、使用滑走路などの情報がテープに録音されておりエンドレスで通信されいる、周波数を合わせれば自由に聞くことが出来る。当然そのテープも数時間毎に最新情報へと定期交換される。

タッチダウン、スラストリバーサーをかけて制動する。タキシングロードに入りエプロンで駐機する。

デブリーフィング
以前マルチプレイでジブラルタル観光をするため、リスボンへから出発したのでここは久しぶりに来たと事になる、次は初の渡洋飛行、今まで沿岸を飛んでおり前後左右が全て海と言うことは無かった。かろうじて九州＞台湾＞香港の間で海をまたいだ程度だ。GPSナビゲーションシステムがあるので迷子になることは無いが、退屈な時間が続きそうな気分だ。なお次回は6時間超の長距離フライトを予定している。スペック上では大丈夫なのだが、P-3Cの燃料が持つかどうか不安だ。念の為途中二回の寄港を予定している。

来るべきフライトを前にゆっくりと休むことにした。

ＢＡＣＫ