2007年ソウル国際航空宇宙防衛展 (韓国 ソウルエアショー2007)
イルボンの皆さんアンニョンハセヨ(`・ω・´)ゞ
今回は隣国南朝鮮で行われたソウル国際航空宇宙防衛展ことソウルエアショー2007の飛行展示の様相をお伝えします。
ソウルエアショーは2年に一度、韓国の首都ソウルの郊外で行われる航空・防衛産業の見本市・エアショーです。過去にはSu-35やラファールまでも出展された事があります。今回は特にメインとなる飛行機は有りませんが、新型の初等練習機/軽攻撃機KT-1やT-50、それに今回のエアショーで解散するブラックイーグルスが目玉でした。
エアショーは1週間行われ月〜金曜日はトレードデー。私が訪れた土、日曜日はパブリックデーです。
入場料は9000ウォンで、約1000円強。両日とも見事な晴天で光線状態もよく、写真家として大喜びな二日間でした。
基本的なプログラムは、午前と午後に2度同じフライトを行い、それを両日とも実施します。
ですので、飛行した機種自体はそんなに多くありませんでした。
1日目は体調不良のため午前の部を見終えた後、早期にホテルに撤退しました。
それでも、日本では見ることの出来ない飛行機を楽しむ事ができ、実に有意義でありました。
でもF-15Kが飛ばなかった事だけは納得できません!
■ブラックイーグルス
午前の部、午後の部ともショーのトップを務めるのは韓国空軍の誇るブラックイーグルスでした。
普通アクロチームは最後に実施するのですが、これは珍しい。二日目午後の部ではチーム解散式が行われました。
ブラックイーグルス別個ページに設けております。
http://www.masdf.com/aerobatics/blackeagles/photo.shtml
低性能機で頑張る姿をお楽しみください。
■KT-1
離陸滑走からいきなりこの上昇!アクロ機並みのパワーを見せたのはKT-1練習機/軽攻撃機。
エンジンは950馬力ターボプロップ。ちなみにT-7は450馬力。
練習機なのに零戦と同等…(^^;
ピラタスのPC-9系やエンブラエルのツカノとそっくりですね。外国の練習機はカッコいいよなあ。
売り込みも掛かってるからサイドワインダーや爆弾の搭載能力も持ち、飛行性能もとても高い。
それに比べT-7は初等練習機として高性能は必要ないとは言え、
60年前のT-34メンターから見た目が殆ど変わってない…。
特徴的なヒゲもピラタスのターボプロップトレーナーにそっくりです。
なんか4ポイントロールなんかもやったりしちゃって、軽快な動きをみせます。
ロール中にベイパーを引きました。上面下面見ても何処からでてるのか分かりません。
■T-50ゴールデンイーグル
さあ主役の登場です!KAIの新型練習機T-50ゴールデンイーグルが離陸です!
エンジンはレガシーホーネットと同じF404ターボファン推力はA/B時78.7kNを単発で備えます。
F-16にそっくりのシルエットです。塗装はXF-2の初号機(^^;
機動もF-16よりも軽快ながら若干推力をパワーダウンした感じでした。見た目そのままです。
雲ひとつ無い青空に白い機体とスモークワインダーの軌跡が映えます。
本当いい動きをします。F-16を買うほどでもない国にはちょうど良さそうです。
KAIはこのクラスの戦闘機/練習機は今後4桁の需要があると踏んでいるようです。
現在マルチロールファイター型のA-50/F-50が開発中です。
実際に数百機は売れるんじゃないでしょうか?ベストセラーになりそうな予感があります。
韓国製とは言っても作業分担率の55%はロッキードマーチンです(^^;
着陸〜。
2010年からはブラックイーグルスの使用機にもなります。
輸出にも活躍にも期待大!
本心を言うと武器輸出をしない日本政府の方針がちょっと憎らしい。
今後はこのクラスの戦闘機・練習機の需要が増えるのは確実です。
それを見越しEADS MAKOや、やや小型のYak-130/M346、純戦闘機として中国のFC-1や既に売れまくってるグリペン。軽戦闘機市場はにわかに活気を帯びています。
日本の技術の粋を集めた軽戦闘攻撃機F-3もその中に名を連ねていたらなあと、いつも思うのです。
ああ、悲しきかな。まだ敗戦国の尾を引きずっている我が国が。
ブラックイーグルス引退セレモニーで編隊飛行したT-50
■KF-16
KF-16は所謂F-16C/D Block52です。
初期にはノックダウン生産、最終的にはライセンス生産したため、独自の名称が付けられています。
F-16KではなくKF-16とするところに、かの国の自尊心というか、いやらしさと言うかが感じられます。
でも、それを言ったらCF-118はどうなんだ。となるのですが。
■F-15C
出ました離陸番長!毎度毎度離陸から観客の度肝をブチ抜きます。
嘉手納のZZのF-15が機動飛行をするのって結構珍しいのではないでしょうか。
なんか久々にF-15をじっくり見た気がします。
やっぱF-15の機動は力強く素早く、迫力が違います。写真写りも良い。いう事有りません。
去年のRIATではユーロファイターやら初めて見る戦闘機ばかり注目してしまい、
今年のMAKSでは完全にスホーイの引き立て役であった事は事実ですが、やっぱ私はF-15が好きです。
これやっちゃうと目が眩むんですよね…。滑走路が南北に走ってるので、
午後はこんな感じになります(^^;
でも、日が傾いてきたから撮れる写真もあるわけで。
これこそ真のゴールデンイーグル。
予定ではF-15Eストライクイーグルだったのに、何故かF-15Cになってしまいました。
ああ、F-15Eの機動が見たかった。
■F-16C
三沢の16のデモチームも訪韓していました。
韓国空軍のKF-16よりデモチームである米空軍のほうが良い機動をしていました。
でも写真1枚だけですから!!
■その他
UH-60?HH-60?ブラックホーク系としか(^^;
ルーマニアのエクストラEA300のチーム。
なぜルーマニアからわざわざ韓国に?
ショーの閉幕直前の写真。
韓国標準時は日本標準時と同じUTC+9ですが、東京とは経度10度以上違うため、かなり日が落ちるのが遅く感じられました。もしも東京だった、らとても撮影できるような明るさではなかったでしょう。
ソウルエアショーは全般的に海外エアショーにしては比較的おとなしいプログラムでした。
しかし、今回私が旅費に投じた金額は日本の地方の航空祭に行くのと同等であった事を考えると値段以上の収穫があったと思います。
--地上展示編
■T-50ゴールデンイーグル
屋内展示機。屋内展示で最も注目を浴びていました。
FLIRポッド、ECMポッドや、AIM-9X、誘導爆弾、クラスター爆弾、訓練弾など、多用途性をアピール。
こっそりイスラエルまで便乗しているのがあの国らしい。
屋外展示機。
韓国軍のシリアルナンバー06-003や07-011は調達年-調達順番でしょうか。
■T-103
本機はロシアのイリューシン製Il-103を韓国が輸入した初等練習機です。
■XKT-1
KT-1の試作機。飛行展示機とは異なった軽攻撃機仕様の装備が施されています。
このクラスの練習/軽攻撃機もグラスコックピットが常識になってきました。
■F-35B ライトニングII
ステルス巡航ミサイルAGM-158 JASSMとF-35B。
なんかROKAFとか書いて売る気マンマンでした。でもF-35Bはないでしょう。STOVLは。
■F-15K スラムイーグル
導入早々に墜落、マンホールに落ちると散々なF-15Kimuchi。
これを見にソウルに来たというに、飛行展示は無しの上に地上展示機は装備無し状態とは。
「F-15Kimuchi」でググるとかなりヒットするんですが、すでに定着してますね。
お気に入り写真。
AGM-84H SLAM-ER。本ミサイルとF-15Kを導入した事により、韓国空軍は極東で最も強力なスタンドオフ攻撃能力を獲得しました。
北にとって極めて大きな脅威と言えるでしょう。
■KF-16 ファイティングファルコン
韓国独自の薄い色のF-16。
どうみてもF-15Kより遥かに充実した兵装が展示されていました。敵対国と陸続きの国は対地兵装の充実度が違います。
■F-5E タイガーII
タイガーIIの飛行も期待していたのですが、残念ながらこの1機が地上展示されたのみでした。
F-50/A-50への代替が決定しており、退役が迫っています。
■RF-4C ファントムII
偵察機RF-4C。我々が見慣れたRF-4Eとはシルエットが若干異なるため違和感を感じます。
我が国と同様、RF-4Cも老朽化が進み代替機の計画が進行しており、グローバルホークなどが検討されています。
■F-4EファントムII
おなじみのF-4E。光学式AGM-65A/Bマベリックを搭載。
いいよね。ファントムはいい。カッコイイ。
奥のRF-4Cと手前のF-4E。機首の長さが異なります。
■ホーク
そういえばホークも保有していたんでしたっけね。軽攻撃機として運用されているようです。
ブラックイーグルスはA-37などではなく、レッドアローズを朴ったキムチアローズでもやってくれればよかったのに。
■A-10
おなじみのA-10。いつ見ても左右の不均衡が気になります。
■C-130
おなじみ。
■CN-235M
Supeter Trooper.スペインCASA製。
■P-3C
こちらもお馴染み。ですが日本のような海洋国家ではない韓国にはあまり配備されていません。
■AH-64D
在韓米軍のアパッチ・ロングボウですが、SLAM-ERにハープーン、JDAMと展示するってどうよ。積むつもり?(無理)
対戦車ヘリコプターの部類の中では非常に巨大な重ガンシップ機である事がよく分かります。
■HH-47
特になし(え
■HH-60
色が良い。
■HH-32/Ka-32
カモフKa-32ですが、米ヘリコプターのような独自名称が付けられています。
消防で使用されているものはそのままKa-32として運用しているようです。
■ルーマニアEA300チーム
4機のアクロを見せてくれましたが、このチームについての情報は得られませんでした。
■KUS-9
プレデターを小型化したような本機を開発したのは面白い事に大韓航空です。
滞空時間は6時間で、行動半径は100kmという戦術級UAV。
■K1A1
地上展示は朝一番に突撃しないと、人ごみに揉まれて撮影不可能になってしまいます。
飛行機はまだチェーンがあるため何とかなりますが、車両はひどいことになります。チャンスは朝か終了間際の二度だけです。
特に戦車は昼頃にはちびっ子達のおもちゃに(*´д`)
■その他戦闘車両
地上車両全然興味ないんで(´ー`)
下段、真中の装甲車はちょうど写真に写ってる少女が乗るのにちょうどいいような大きさですが、無人戦闘車両でしょうか。
■国別、メーカー別ブース
今回、地元韓国を除きもっとも「死の商人」っぷりを発揮してたイスラエルのブース。
どこの国の兵器見本市でもこの国は充実してるんですよね。ジャパンエアロスペースでもそうでした。
ラファエル社。短射程オフボアサイトAAMのパイソン5と、中射程アクティブレーダー誘導AAMのダービー。
噂に聞くダービーを見るのは初めてでした。
IAIのEL/M-2060P側視レーダーポッド。
合成開口レーダーモードと、動目標探知レーダーモードを備えています。
ポッドが半透明化しており、アンテナの動きが見えるようになっていました。
ロッキードマーチン社。PAC-3にA-50。ヘルファイアなども。
ボーイング。KAI塗装の実物大の787輪切りを展示していました。
窓が液晶ディスプレイになっており、外の風景が動くというこだわりっぷり。
スウェーデン。写真はカールグスタフ。グリペンの模型なども有りました。
ボフォース57mm70口径艦載砲の弾丸。
■その他の写真
二日目、朝の飛行展示が始まる前。やっぱしアクロチームの前が一番混雑するんですね。
とはいえおおむねマナーは良く、前の人たちは座って見ているので何ら障害なく写真を撮る事ができます。
話し掛けられた際は、基本「日本人なので言葉わかりません」と英語で答えていたのですが、
何だこいつチョッパリか。英語喋りやがって。と侮蔑してきたクソババアを除き、皆フレンドリーでした。
「ソウルに来るのは初めて?」「初めて。ブラックイーグルスとF-15Kを見に来た」「日本のどこから来たの?」…など
下手な英語同士ですが簡単な会話もできました。
正直、竹島やら日本海やら言ってきたらどうしようかと思ってたのですが、考えすぎだったようです。
羽田空港国際線ターミナル。
すでに午後10時。あとは私が乗るチャーター便の767が1便しかないのにこの混雑。狭すぎる…。
泊まったホテル。あまりにシュールで心の中で苦笑いしてました(^^;
モラン市場。
最寄のモラン駅からエアショー会場へ歩いて行く際にとおります。犬、ニワトリ、ブタなど家畜が売られていました。
小さな檻の中にワン子が沢山…。食うんだろうな。
店の人がアンニョンハセヨーアンニョンハセヨーとこっち向いて呼び込もうとする。いや犬食べませんから。
他国の食文化に文句を言う、アタマがイカれたレイシストに成り下がるつもりは無いのですが、
そういう理屈抜きにこの場所はマジ臭いし生理的に不快。帰りや翌日はここを避け、北側の道をとおりました。
帰国の日に分間10回以上のくしゃみに襲われたのですが(帰宅後熱測ったら38度越えてた)
ここで病原菌もらったんじゃないかと…(´д`;) こうやって病気が世界に拡散するんですね。
ソウルエアショーの魅力を一言で総括すると、
日本の地方へ行くのと変わらない出費と時間で普段見る事ができない飛行機が見られる。
というところに有ると思います。
欧米に行くほど時間が無いけど、たまには空自とはちょっと違う戦闘機やアクロバットチームを見てみたい!
という方にお勧めです。土日で行って帰ってくることが可能です。
後日、やる気があればソウルエアショーへの行き方を追記するかもしれません。
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MASDF
余話
脚立使ってるオヤジ、100%日本人だろうな…とか思ってたらポケットから100円玉を落としてマジ爆笑しました。
何処の国に行っても日本人以外で脚立を持ってる人、いままで一回も見たことありませんよ。悪しき習慣だよなあ。