ロンドン 帝国戦争博物館 2006年7月
帝国戦争博物館ロンドンは第一次世界大戦から第二次大戦、朝鮮戦争、冷戦、フォークランド戦争、湾岸戦争、イラク戦争など、こんにちまでの英国の軍事史を伝える博物館です。
戦闘機や戦車もそれなりにありますが、どちらかというとその他の小火器や、資料展示、英国お得意の蝋人形を使った等身大のジオラマや、防空壕にこもりドイツ軍の空襲体験や第一次世界大戦の塹壕戦体験がメインとなっています。
帝国戦争博物館では特にナチスドイツのホロコースト展示はとても力が入れられており、ホロコースト展入場前にバッグの中身を調べられます。また年齢制限があり子供は入場できません。内容が内容だけにヘンな思想を持った輩が展示物を壊すのを防ぐ処置なのでしょう。そこだけ博物館の雰囲気が重々しく、写真撮影は禁止。真っ暗なためフラッシュを要するのでこっそり撮影はほぼ不可能です。…それでもフラッシュ焚いてる人いましたけど。
しかし帝国戦争博物館とは凄い名前ですね。過去の植民地支配を反省するどころか栄光の歴史と言わんばかりに誇ってます。靖国神社の博物館ですらアレなんだから、大日本帝国戦争博物館なんて作ったら非難轟々間違い無しですよ。いや、非難だけならまだしも、下手すると放火ぐらいされかねません。
なにせ航空自衛隊の広報施設というだけで戦争賛美だと騒ぐ団体があるくらいです。彼らにRAFミュージアムや、ダックスフォードの帝国戦争博物館を見せてみたいですね。頭に血が上って発狂するかもしれません(笑)
■行き方
帝国戦争博物館 ロンドンはロンドン市内のほぼ中央部にあり、市内に宿泊しているなら容易に行く事ができます。 地下鉄の利用を推奨します。最寄り駅はBakerlooラインのLanbeth North駅です。Waterloo駅の隣で、とても行き易い場所にあります。Waterloo駅から歩いても20分程度なので散歩がてらでもいいかもしれません。 Lanbeth North駅は出口はひとつしかありません。地上に出たら目の前の横断歩道に Imperial War Museumの案内標識がありますので、その案内どおりに南に歩きましょう。5分も経たずに帝国戦争博物館が有る公園が見えてきます。 入り口正面にはR級戦艦の15in連装主砲が展示されています。公園に入ったけど、どこにもそんなのが見当たらないならそこは裏側です。 入館時には荷物チェック(ホロコースト展でさらにダブルチェック)を受けますが、料金は無料です。 |
■中央エントランス1階
入場すると、まずこのホールに入ります。吹き抜けを持つ広い空間で太陽光が取り入れられているため撮影しやすい環境にあります。
戦闘機や戦車など大型の兵器類は全てここに展示されています。
ちなみに私が行った時は戦場で活躍した動物展が開催されており、上の写真の左にワン子が空挺降下する様子が再現されていました。
また、階段や廊下などいたるところに、かわいらしい犬の足跡がペインティングされていました。
なお、戦車類は触ってもOKです。装甲の重厚さが体感できます。
当方航空属性なため戦車はM1エイブラムスと61,74,90戦車しか区別できない程度の知識しかないため説明に誤りがあるかもしれません。あしからず。
ヤークトパンター駆逐戦車(戦車駆逐車と書いたら独逸のは駆逐戦車という。と突っ込みが)
三次元機動を可能にしたPEU軍ドイツの最新鋭第2世代の装甲歩行戦闘車。いわゆるHIGH-MACSで…
それはガングリフォン。
ドイツの戦車駆逐車で、見るからに避弾経始がよさそうな形状が特徴的です。正面装甲は80mmとありますが左側面に4発の貫通痕があります。どうもクロムウェル戦車に撃破されたようです。
なお、反対側は装甲が大きく切り取られており内部が見られるようになっています。
T-34/85
なんかどこにでもありますな。T-34は。
ダイムラーMK.II
ダイムラーって言うぐらいだからドイツの装輪装甲車?
と思ったのですが英国製のようです。
M3グラント
なにこれ…(´ー`;)
アメリカからイギリスにレンドリースされた戦車ですか。
歩兵戦車マチルダ2
英国製。戦車ぜんぜん知らんからコメントに困る(汗
M4A2(?) シャーマン
特徴の無いごく普通のシャーマン。
歩兵戦車チャーチル
英国製。正面装甲101.6mmと防御を重視した戦車。
パンツァーフロントでこいつが出てくると片っ端から跳ね返されて鬱になります。
Mk.V戦車
菱形をした見るからに第一次大戦型の戦車。
側面がガラス張りになっており、内部を見学する事ができます。
ドーラ800mm列車砲…の主砲弾
でか!人間の倍は軽く超えてます。なんだこの大きさ!
横須賀の三笠記念艦で大和の主砲弾を見たことがありますが、そんな問題にならないぐらいデカイ…(^^;
V2
でか過ぎ。お花畑が意味不明。
■中央エントランス2階〜3階
A6M5 ZERO FIGHTER 零式艦上戦闘機五二型
二階への階段を上ると最初に見えるのがこの零戦。
イギリス軍に鹵獲され、イギリス式塗装が施され試験機として運用されました。
なお説明文に
”At the start of the war in the Pacific it outclassed every Allied fighter.”
「開戦当初、太平洋戦線のすべての連合軍戦闘機の性能を凌駕していました。」
と、高評価を得ています。
在りし日の姿。
88mm FLAK
FLAKといえばもはや大口径対空砲の代名詞的存在ですが、その中でも88mmアハトアハトは超有名ですね。
対空砲としてではなく、水平射撃すれば最強の対戦車砲に、戦車に搭載すれば最強の戦車砲に。
2000m先で150mm装甲を貫通ですから、上で出てきたチャーチルやヤークトパンターやT-34の正面装甲を余裕でぶち破れる威力。それもこの巨大さを見れば実感できます。
He-162ザラマンダー
単純で安く多く作れ、かつ練度の低い新兵でも操縦できる国民戦闘機として開発されたジェット戦闘機ですが、信頼性の低い当時のジェット、しかも迎え角をとると空気流入が大きく阻害されてしまうこの飛行機はベテランでも操縦が難しかったとか。
こういう初期のジェット機は意味不明さが面白くて好きです。本機の射出座席も意味不明さから生まれたものですし。
Fw190A8/R6
ご存知Bf109と並ぶルフトバッフェの主力戦闘機。爆弾懸架装置を装備しています。
スピットファイアMk.I
RIAT,ファンボローで稼動機、RAFミュージアムやダックスフォードで腐るほどスピットファイアを見てきましたが、バトルオブブリテンでもっとも活躍したスピットファイアMk.Iはここでしか見ることができませんでした。
P-51Dマスタング
マスタングはもう飽きた(笑)
Bf110のエンジンと胴体。なんとこの機はナチの副総統、ルドルフ・ヘスが単身イギリスに渡った際の乗機でした。
ルドルフヘスは戦犯として裁かれ終身刑を受けました。よく身代わり説が囁かれていますが、私から言わせてもらえば、あの四角い顔と眉毛の身代わりは無理(笑)
サンダーバード地対空ミサイル
よくしらないけどかっこよかったので。
■資料館
第一次世界大戦からより現代に至る英国の戦争の歴史が、兵器の展示よりも広い面積に展示されています。
道が複雑なので迷子になる事受けあい。写真はスパイ史エリア。BGMもそれらしいものが流されていて雰囲気が出ています。
左はかの有名なエニグマ。右は第二次大戦中の暗器。メダルオブオナー・ライジングサンに出てきたSISのスパイが持ってた武器が。
数少ない日本に関する展示。
戦車や飛行機を目当てにこの博物館に足を運ぶのはやや物足りなさを感じるかもしれません。英語が理解できるなら膨大な資料を前に大きな知識が得られる事でしょう。
BACK
MASDF