演技解説・写真集
Bialo Czerwone Iskry?
ポーランド空軍「ビアロチェルボニイスクリ」 なんて長ったらしくて覚えにくい名前なんでしょう!
その名前のくどさは「エスカドリラダフマサ」と双璧です!(笑)
「ビアロ」「チェルボニ」とは、それぞれ「白」と「赤」の意で、ポーランドの紅白旗を表します。
「イスクリ」とは、同国の国営航空機製造会社、P.Z.L.社製のジェット練習機「イスクラ」からから継承しています。そう、チームで使用している飛行機が、そのままチーム名として使われているのです。
イスクラは電光の意ですから、ビアロチェルボニイスクリとは「白と赤の電光」という意味になります。ファイナルファンタジーの中ボスが使用して全員に500ぐらいのダメージを与えそうな技の名前ですね(笑) どうやら自分たちのチーム名がくどいことを自覚しているらしく、対外用の名前としてWhite
Red Sparksという呼称も使用していますが、多くは「Team
Iskry」と略しているようです。そりゃそうです。長ったらしいもん。
MASDFのアクロチーム特集では原則現地の名前を使用していますから、ビアロチェルボニイスクリと書きます。ビアロチェルボニイスクリですよ?ビアロチェルボニイスクリ。斜め読みしないで、ちゃんと一文字ずつ読んでくださいね。ビアロ・チェルボニ・イスクリ。
イスクリは(やっぱ略します)TS-11イスクラを7機使用する、ヨーロピアンスタイルのチームです。はずれの少ないヨーロッパチームの中にあって、それなりの実力を誇ります。ただ私はイスクリのフルショーを見たことが有りません。2010年のケチケメートエアショーでは、イスクリがアクロチームのトップバッターを務めましたが、残念なことにお天道様のお目覚めが悪く、朝はあまり良い天気ではなかったのです。
その限られた演技を見る限りでは悪いチームとは思えませんでした。TS-11イスクラ自体の見た目と塗装のセンスが余りにもくぁせdrftgyふじこlp;な事を除けば、まずまず良いチームだと思います。なんかスペインのパトルーラ・アギラみたいな立場ですね(笑)
1969年、ポーランド空軍は当時最新鋭だったTS-11イスクラ4機によるアクロチーム「ロムビク」を結成します。ロムビクとはダイヤモンドの意で、おそらく4機編隊から取った名前なのでしょう。1989年に「イスクリ」となり、91年には現在の白と赤の配色が施されました。90年代後期には9機編成で飛行展示を実施していたようです。さぞ迫力のある演技だったことでしょう。
現在の「ビアロ・チェルボニ・イスクリ」という名は2000年に7機へと再編成された際に名付けられました。イスクリのパイロットは全員ポーランド空軍の教官から選別されます。
「P.Z.L.」というポーランドの企業をご存じでしょうか? P.Z.L.は国営航空機製造会社の略称で、過去、様々な飛行機を生産していました。第二次世界大戦の飛行機が好きな軍オタの方々は、1939年9月のドイツによるポーランド侵攻作戦において、ポーランド空軍が自国産の戦闘機で抵抗したことをご存じではないかと思います。P.Z.L.は戦後もMiG-15やMiG-17をライセンス生産し、独自の飛行機の設計も同時にこなしました。
TS-11イスクラはP.Z.L.により東側諸国の共通練習機として設計され、1960年に初飛行しました。しかしチェコのL-29デルフィンに破れ、共産圏ではポーランドの運用だけに留まりました。ですが何故か飛行機の闇鍋、インドにも輸出されています。
イスクラ最大の特徴はそのSO-3 ターボジェットエンジンに有ると言っても良いでしょう。推力は10.8kNで、イスクラには双発搭載されています。このSO-3、なんとポーランド国産なのです。ジェット機を国産で造る国は少なくありませんが、自力でタービンエンジンを設計し、製造した国はそう多くは有りません。意外にも高い技術を有するポーランドの国情をうかがい知ることが出来ます。
不格好なかなかに特徴的な設計の本機ですが、その中でも最も異色な点はエアインテークの金網といえるのではないでしょうか。クリアランスの小さいイスクラならではのFOD防止策ですね。あまり強烈な迎え角を取ると乱流が発生し、あっという間にエンジンがコンプレッサーストールしてしまいそうな設計です。実際のところはどうか知りませんが。
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