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US-1C試作型初号機。なお、不採用になったUS-2は六翔プロペラのターボプロップ機であった
【海上自衛隊】
US-1改(US-1C)ジェット飛行艇
まもなく運用開始へ


救難飛行艇US-1Aの後継として二案が提出されていた。どちらも既存のUS-1Aをベースとした改良型新造機で、これはそのうちの一つのUS-1Cである。

US-1AとCの最も大きな変更点、それは見ての通りジェットエンジンにある。
CF-56-101エンジンはプラットアンドホイットニー製のB-737旅客機に搭載されているものと同じで約10000Kgの出力を持つ。ただ、B737に装着されているものは、歪んだ形のエンジンだが、US-1に使われるものは円形である。

水上で使用されることから防水フィルターが装着されており、若干出力は落ちたものの、4発合計で38000Kgの推力を得られる。
US-1Cの離陸重量が47t(US-1Aは45t)なので実に0.81もの推力重量比に達する。これはF-16の飛行可能状態での推力重量比とほぼ同じという優れた余剰推力を持つ。

またSTOL飛鳥研究機はエンジン推力を翼、フラップの上面を這わせて下向きに変えているUSB方式をとっているのと違い、US-1Bはフラップの下面を通り推力の向きを変えられているEBF(Externally Blown Flap)方式を採用しており、EBFはC-17グローブマスターIIIにも採用されている。

これは水飛沫となった海水をエンジンから吸い込まないようSDS(Seawater Defend System)によるため。
US-1Bは実に40ktで離陸することが可能となった。40kならばホバークラフトや高速艇のほうが速い。水上を走る船と並んで飛行することもできてしまう。
陸上滑走で離陸する場合はたった77mの滑走でで離陸速度に到達した。

アヴィオニクス面でもフライバイライト操縦システムの導入、グラスコックピットに伴うHUDの設置、そしてヨークが無くなり、A320やA340等エアバスの新型旅客機のようにキャプテンは左手、コパイは右手でサイドスティックによる操縦を行う。
なお旧US-1Aの離陸速度は60ktであり低速での安定性に問題があったが、これらの装備によりすべて解決した。

CF53は高性能なターボファンエンジンだが、やはり長時間を哨戒するとなるとターボプロップ機よりも多く燃料を消費してしまう。そのため高速度が必要とされないサーチアンドレスキューの場合では、現場まで4発機としてマッハ0.8で飛行し、現場では左端と右端の1番4番エンジンをアイドリングにまで出力を落として捜索がおこなわれる。これにより2発のエンジンによる飛行となるが、元々余剰推力が大きいので通常飛行には一切問題は無い。

US-1Cは現在2機が厚木基地で初期作戦能力試験を受けている。

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