F-15E ストライクイーグル

F-111アードバーク戦闘爆撃機を代替する強化型戦術戦闘機「ETF」。後に複合任務戦闘機「DRF」として開発されたF-15イーグルの攻撃機型(マルチロールファイター)である。通称「ストライクイーグル」と呼ばれる。
F-15B/DにFASTパックを装備し爆装を行った機で試験が行われた。1984年に量産型のF-15Eの生産が開始され、1986年12月に初飛行。1989年12月29日初期作戦能力(IOC)を獲得した。
F-15Eは外見こそ従来のF-15と同じであるが、低空を高速での侵攻かつ重爆装に耐えるため機体構造は大幅に再設計され60%以上が相違し、許容飛行時間は16000時間にも達し、極めて頑丈である。兵装搭載パイロンを持つFASTパック、LANTIRNを標準装備し、すべてが複座機であり、たいていの場合この点に注目することによりで従来のイーグルと見分けることが出来る。
コックピットはカイザー広視野HUDおよび3台のMFD、後席には4台のMFDを備え、グラスコックピット化している。またF-15Eに搭載するために開発されたAN/APG-70レーダーを装備し、合成開口レーダーモードのサポートにより高い空対地マッピング能力を持つ。電子戦関連装備は従来のF-15と殆ど同じである。
搭載可能兵装は空軍が保有する戦術戦闘機用空対地兵装のすべてであり、この種のマルチロールファイターとしては桁違いに強力な攻撃能力を持っており貴重な長距離攻撃機としておよそ200機が配備されている。なお、F-15イーグルとしての空対空能力も変わらず保持しており、戦闘空中哨戒任務を行った記録も有る。
また米国のF-15Eの他にいくつかの国に輸出されており、イスラエルのF-15I、サウジアラビアのF-15S、韓国のF-15K等のバリエーションがある。
IOC獲得からおよそ1年後の1991年1月には湾岸戦争には当時としてはF-111と並び、数少ない全天候攻撃機として主に夜間のスカッドハンティングや建造物攻撃、機甲師団への攻撃などを主任務として投入された。
2機のストライクイーグルの編隊が装備する合計16発のGBU-12レーザー誘導500ポンド爆弾で16両の戦車を破壊するような戦果は1度や2度では無かった。
またGBU-10レーザー誘導2000ポンド爆弾でイラク軍のヒューズ500(Mi-24ハインドとも)ヘリコプターに直撃させ撃墜するという稀な戦果を挙げている。1月18日に地対空ミサイルにより、1月20日にAAAにより2機が撃墜された。
ユーゴコソボ紛争ではイタリアに展開し、アドリア海を超えユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)への攻撃を実施し、アフガニスタン紛争では隣国パキスタンは米軍の展開を拒否し上空通過のみ許可した。そのためクウェートからF-15Eが出撃している。イラン上空を避けパキスタン上空を通過しアフガニスタンまでの片道約2000kmを空中給油を繰り返し攻撃を実施した。空軍の戦術戦闘機の参加はF-15Eのみであった。航続距離の小さいF-16ではF-15E以上に給油を頻繁に行う必要があり無理な話である。
ストライクイーグルの搭載力・航続距離等空対地攻撃能力は他のマルチロールファイターに比較し桁違いである。

本F-15Eについての詳細は姉妹ページF-15Eストライクウイングを参照されたい。


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f15e001.jpg - USAF