Royal Air Force Museum London ロイヤルエアフォースミュージアム ロンドン 2006年7月


オッス、オラ悟○!
RAFミュージアムを漢字にすると「裸婦ミュージアム」となるんだよな!
世の中にはすっげぇ博物館もあるんだなぁ、オラわくわくしてきたぞ!

Royal Air Force Museum すなわち王室空軍博物館は、その名の通り歴史ある英国のロイヤルエアフォースの歴史が展示された博物館です。残念ながら裸婦の展示はありません。うん、こんなこと書いちゃったからには多分このページは子供むけのペアレンタルコントロールに引っかかっしまうかな(笑)

百機近くもの飛行機が展示されており、一機一機が見学しやすく、また説明もあわせて設置されており、環境的に世界の航空博物館の中でもトップレベルにあることは疑いありません。
ただし、若干照明が暗いため写真撮影については注意が必要です。後述しますが特にバトルオブブリテン館は絶望的な暗さです。なおフラッシュの使用は禁じられていませんが、あまりバシバシ光らすのも周りにとっては興ざめなので程々に。

2008年にコスフォードRAFミュージアムにも行きました。
お時間が許せば、ぜひそちらもご覧ください。


■行き方

ロンドン市内からなら簡単に行く事ができます。交通手段は地下鉄を推奨します。最寄り駅はColindale駅です。
EustonやEmbankmentやKing's Cross St.Pancrasなど適当なロンドン中心部の駅から乗り換えでNorthernラインの北方面、Edgware行きの列車に乗ります。
Northernラインはロンドン中心部を離れると分岐しますので必ずEdgware行きに乗りましょう。Colindale駅はEdgwareの3駅手前のUndergroundとは名ばかりの地上駅です。

Colindale駅は出口がひとつしかありません。
Colindale AVEに出ますので、左に道路に沿って進んでください。途中にぐるぐる交差点(ラウンドアバウト)もありますが、そのままひたすら真っ直ぐ、徒歩で7-8分の地点の反対車線側にあります。
途中の上り坂で、一見RAFミュージアムかと思ってしまいそうな派手な警察署がありますが、そこを過ぎればすぐです(というか隣です)。
ロンドン中心部からおよそ30-40分で到着します。

公式ガイドに掲載されている地図を見ると一見複雑ですが、一本道なので迷い様がありません。迷ったら相当な方向音痴です。
RAFミュージアムは4棟の建物で構成されています。別にどのようなルートをとっても問題はありませんが、敷地に入ったらまずはVisitor entranceへ向かいましょう。そこがスタートです。

(地図は公式サイトから転載)
http://www.rafmuseum.org.uk/


■マイルストーン館
ロイヤルエアフォース90年の歴史が1年1年グラフィカルに展示されています。ここにも多くの飛行機が格納されており、自然光が取り入れられているので、写真の面でも唯一光量を気にする事無く撮影ができます。
マイルストーンとは物事の歴史を変えた重大な出来事を意味します。つまり時代の転換点になった飛行機を展示しているという事ですね。


入ってすぐの光景。文字通り古今東西が混沌としています。


川崎 五式戦闘機
ご存知日本製の戦闘機。
飛行可能ではありませんが、1986年にはエンジンを回せるまでになりました。飛燕と五式戦、戦後はYS-11やP-2Jの設計者の土井武夫氏がこの機体を見て「これなら飛行可能だ」と言ったとか。でも博物館側は飛ばすつもりは無いようです。
旅行前はコスフォードのRAFミュージアムで展示されてると聞いたのだが、行ってみるとこっちに移動してました。


ナムフ


サワルナ
機体中あちらこちらに日本語で注意書きが記されています。
五式戦闘機の最高速度は580km/hでスペック的には他国の45年世代の戦闘機には到底及びません。数字上は飛燕や疾風にすら劣りますが、エンジン不調に悩まされる三式、四式に比べ、堅実な信頼性を発揮したそうです。
でも、マイルストーンとして展示するなら五式戦闘機より零戦のほうが適してそうな気がしないでもありませんね。


デ・ハビランド モスキート de Havilland DH98 Mosquito B35
開発当初は全木製の非武装機ということもあって懐疑的でしたが、出来てみたらスピットより早くて空軍省の人達ビックリ。派生型沢山で大活躍。主に夜間爆撃に投入されました。
モスキートは私の好きな飛行機の一つです。「木製の奇跡」万歳!


メッサーシュミット Bf-109 G2/trop
北アフリカで捕獲された機体で、防塵フィルターを装備した熱帯地仕様機。英空軍基地で朽ち果ててるのを20年近くかけて飛行可能な状態にまで修理した機体。
「ブラック6」として有名であり、現役時代の戦歴から復元・飛行に至るまでの本も出ています。
10年ほど前に着陸事故をおこしていますが、今現在も飛べるのかな?かな?


ユーロファイターを狙うソッピース キャメル Sopwith F1 Camel



キャメルを狙うフォッカーDV2 Fokker DVII


「11時方向にフォッカーいるぞ!」
フォッカーを狙うHawker Hart II


ホーカーテンペストV Hawker Tempest V
本機は第二次世界大戦中におけるP-51マスタングに比類する高速戦闘機。最高速度は690km/hも。
V1ミサイル撃墜の半数弱がテンペストによる戦果でした。ネイピア セイバーIIAエンジン搭載による顎が…。


メッサーシュミット Me262 Messerschmitt Me 262A-2a Schwalbe
言わずと知れた世界初のジェット戦闘機。かっけーー。RAFミュージアムの中でこの飛行機の写真を一番多く撮影しました。
最近復元稼動機が有るようですね。無論エンジンは別物ですが、2006年のベルリンエアショーの目玉だったそうです。
飛行状態のMe262を一度見てみたい。


ペガサスエンジン
ハリアーの心臓部。ペガサスとはよく言ったものです。


マーリンエンジン
これはモスキートに搭載されていたもののようです。


ユーロファイターシミュレーター
乗りましたがガクガクドコンドコン動きまくります。
マイルストーン館のエントランスでアイドライクシミュレーターチケットプリーズしましょう。確か3ポンド。
これと同じようなのがエアタトゥーやファンボローにたくさんありました。

■爆撃機館
マイルストーン館とは別の建物ですが、連絡通路は屋根があります。雨の日も安心!


ウェリントン WELLINGTON
愛称ウインビー 大戦勃発直後からランカスター等の4発爆撃機が揃うまで長期間活躍。胴体が独特の大圏式構造で、金属の細い部材をカゴ上にくみ上げた物に布張りした構造。量産には不向きだけど頑丈で軽量、損傷しても大きな破損を免れるというメリットも。最初は昼間爆撃してたけど凄まじい損失なので夜間爆撃にシフト。
生産数1万機以上で英国爆撃機の中では最多。


ボロボロのハリファックス Halifax
性能的には悪くはないが、ランカスターが有名になりすぎたおかげで影が薄くなってしまった4発爆撃機。


リベレーター Consolidated B-24 Liberator
アメリカが作った軍用機の中で(多分)一番生産数の多い凄い機体。(ライセンス生産機入れたら一番はテキサンですが)
こんなん2万機近くも作るなんて。


アブロ ランカスター Avro Lancaster1
この機体がRAF史上、最も重要だった爆撃機であることに異論を唱える人は居ないでしょう。
B-29より爆弾搭載量の多い凄い機体。グランド・スラムは10トン爆弾の怪物。
飛行状態を見たことがある飛行機はあまり感動がありません。



ブラックバーン バッカニア Buccaneer
唯一ジェットで爆撃機館で浮いた存在。イラクではレーザーターゲティングを行い、トーネードのレーザー誘導爆弾投下を支援しました。



バッカニアにはなぜか日本語の説明文が。
後で出てきますP-47サンダーボルトの説明文にも日本語が。

なお、爆撃機館に有ったはずのFw-190,He-162,バルカンといった目玉は思いっきり見逃しました。
広すぎなんじゃ(>_<)

■戦闘機館
爆撃機館と戦闘機館は壁で仕切られてはいますが、同じ建物内です。



スピットファイア Mk.24
完全に戦後になってから生産された機体。
2375馬力 最大速度724km/h 最大重量もmk1と比べて1トン以上も重くなってる。
81機しか生産されなかったにもかかわらず、全部引き渡されるのに1年近く費やされ、スーパーマリン社もミーティアやバンパイアが就役してる中での生産はやる気がなかったのでしょう。
81機中20機は梱包されたまま1952年まで保管されていましたが、1956年に一度も飛行しないままスクラップに。
ちなみに、この博物館に展示されてる機体は、なんと「総飛行時間7時間!」

右はグリフォンエンジン。こんなの搭載してるんだからマーリン時より機首が長くなるはずです。

型番は違いますがグリフォンスピットも飛行中を見たことがあるので…。


ミーティアF8
英国初のジェット戦闘機で、戦中は主にV1迎撃任務に就きました。見るからにM262には及びそうもありません。
朝鮮戦争ではミーティアとMiG-15のキルレシオはなんと優勢。性能はもちろん大幅に劣っていますが。
F8型は戦後に生産された型で、射出座席が装備されています。


タイフーン1B Hawker Typhoon 1B
RAFで最初に400mph(640km/h)を突破した高速戦闘機。20mm機関砲を4門搭載してますが、本来12挺もの機関銃を搭載する予定でした。高々度性能や上昇力に問題があり迎撃機としてはあまり活躍することができなかったのですが、逆に低空での近接航空支援機として大成功を収め、ドイツ軍を震え上がらせました。
いわゆる「ヤーボ」で真っ先に思いつくのがタイフーンである人が多いのではないでしょうか。

だから、ユーロファイターがタイフーンになったときはドイツが

「ふざけんな!またかまされたいのかコラ!(イタリア抜きで)」

と、キレました。

もちろん(半分)嘘です。


ホーカー テンペストMk.II Hawker Tempest Mk.II
セイバーエンジンからセントーラスエンジン(2,520hp)に変えた機体。顎がなくなった。


キティホーク III Kittyhawk Mk.III
英国供与型のP-40で、P-40KまたはP-40M相当の機体。
イギリスではP-40A〜Cをトマホークと呼び、それ以降の機体をキティホークと呼びます。


リパブリック サンダーボルト Republic P-47 Thunderbolt
最大重量が零戦3機分の巨漢。


ブリストル ボーファイター Bristol Beaufighter
夜間戦闘機型・戦闘攻撃機型・雷撃機型と多種多様。


ブリストル ボーフォート Bristol Beaufort
ボーファイターの元となった機体で、上で書いたアブロ・アンソンの後継機。
任務は偵察・軽爆撃・機雷敷設・雷撃など。


ハドソン Lockheed Hudson IIIA
ロッキードのスーパーエレクトラを原型とした英国の哨戒機で、第二次大戦開戦後初めて米国から供与を受けた機体。

買わなきゃハド……いや、やめておこう。


複葉機まとめて(爆)



キャンベラPR3 English Electric Canberra PR3
爆撃機キャンベラの偵察機型。PRはPhotoとReconの頭文字。モスキートの偵察型の代替機として装備され、キャンベラPR9は2006年の7月まで現役で、このRAFミュージアムに足を運ぶ数日前のエアタトゥーで最後のデモフライトを実施してくれました。
本機はイギリスからシドニーへのエアレースを実施し、ほぼ丸一日かけて現地に到着し世界記録を樹立しました。



トーネードGR1 Panavia Tornado GR1A
いわゆるIDS(攻撃機型)です。柱が邪魔だ。


ファントム Phantom FGR2
いわゆるF-4のロールスロイス搭載英国型。


ライトニング Lightning F6
でました。隠れファンが多い英国製最高の迎撃戦闘機!
これが無くてはロイヤルエアフォースも始まりません。


見よ、縦並びの双発エンジン!


何考えてるんだか翼上のタンク!
あとで取っててつけました的な給油装置! 他につける場所がありませんでした的なミサイル!
これぞ変態イギリス機です。


バンパイアF3 de Havilland Vampire F3
すいません、また変態です。見た目はアレですが、バンパイアの生産数は3500以上と侮れません。
日本にも1機が輸入され、浜松で見られるのでどうでもいい。


ハンターFGA9 Hawker Hunter FGA9
一緒に展示されている30mm機関砲4門から、いかに重武装であったかが窺い知れます。
なお、戦闘機として初めてレーダーを搭載したのはハンターでした。(もちろん既存の夜間戦闘機は別です)
FGA9は対地攻撃機型。

■ヘリコプター館
戦闘機館の一角に細々とあります。


ベルベディア Westland Belvedere HC1
初期の大型ヘリコプター。あまりに不恰好に長くて丸々写真に収める事ができません。

■バトルオブブリテン館
当館だけは離れた場所にあります。時間帯によっては防空戦の上映が行われており、その際はホンキで真っ暗なうえ、スツーカの前に後で来いという立て看板が有り、展示場への入場もできません。しばらくすると照明が点灯し、スツーカ前の立て看板も撤去されますが、それでも暗いので撮影環境はあまりよくありません。

その情報は職員に教えてもらったのですが、感謝を混めて「すいません」を「ソーリー」と言ってしまうのは日本人の性。
英語圏ではサンキューが正しいのは分かってるのですが自分が育った文化からの脱却は難しいですね(^^;


ユンカース Ju87G-2 Junkers Ju87G-2
スツーカの愛称で有名なドイツ製の傑作急降下爆撃機。
本機はタンクバスターとして有名な37mm砲搭載型で、ジェリコのトランペットと呼ばれ、敵を震撼させたサイレンの装備はありません。
なぜか肝心の37mm砲ははずされ爆弾装備になっています。


ショート サンダーランド Short S.25 Sunderland
大型飛行艇 長距離海洋偵察・爆撃・輸送と幅広く活躍。


「ヘイ、サム! いくら漕いだって飛行艇は動かんぜ!」
英国人お得意の蝋人形(笑)


「寒いよ…暗いよ…おなかすいたよ…。」
サンダーランドは中に入る事ができます。


V1
五尺球が仕込まれてました。


V2
でか過ぎ。


フィアット CR42ファルコ Fiat CR42 Falco
イタリアの複葉戦闘機 最高速度は430km/hと複葉機としては最高の性能。
BoBにも参戦し、イギリス上空で戦闘したらしい。(だからBoB館にあるわけで)


メッサーシュミット Bf110G-2
夜戦仕様。機首のごっついのは「鹿の角」のあだ名のFuG220リヒテンシュタインレーダー。
これをつけると空気抵抗で50km/h近くもスピードが落ちました。
暗い!暗すぎる!もっと照明を!


Junkers Ju88R-1
ドイツの主力爆撃機で、同じく夜戦仕様。Ju88が夜戦として重宝されたのは、Bf110と比べてレーダーつけても8km/hしか速度が低下しなかったから。生産数1万4000機中機4000近くが夜戦型。
本機はスピットファイアの迎撃を受け強制着陸させられたようです。


メッサーシュミット Bf109E-3
DB601Aaエンジンを搭載。武装はMG-17 7.92mm機銃×4のE-1型にさらに主翼内武装に20mmMG-FF機関砲を装備した機体。機体は基本的にE-1と同じだが、主翼の兵装装備箇所の構造が強化されています。生産数1,246機。


ハインケル He111 Heinkel He111H-20
元々民間輸送機として作られた双発爆撃機。戦争初期の主力爆撃機でしたが、敵戦闘機に対して防御力が弱く損害が大きかったため、
Ju88が登場すると、夜間爆撃やミサイル母機・雷撃・航路誘導・グライダー曳航・輸送などの各種任務へ割り当てられることに。


ブリストル ブレニム4 Bristol Blenheim IV
元々軽爆撃機として採用。重戦闘機と偵察機としても使用されました。 


グロースター グラデュエーター Gloster Gladiator 1
RAF最後の複葉戦闘機。
ドイツのフランスやノルウェー侵攻時に派遣され、バトルオブブリテンでもわずか二個飛行隊が残っていて参戦しました。


ボールトンポール デファイアント Boulton-Paul Defiant
後部銃座のみで前面機銃を装備しない異色の戦闘機。
就役当初はドイツ軍の意表をついて、いくらかの戦果をあげたものの前面機銃を搭載していない事がバレて正面から狙われるようになりました。
その結果昼間戦闘では標的機にしかならないことが発覚したので、迎撃レーダーを積んで夜間戦闘機にしてみたらかなり活躍したらしい。本土防空以外には役に立たないため、後に標的曳航機に改造されたりした。


「てんめーー!こんなidiotでdamnな戦闘機に乗せやがって。殺す気か!」

「さっさと乗れ。乗らないなら帰れ。」

人形は亡命ポーランド人。バトルオブブリテン時には大変な大活躍をしました。


入場料は無料。このクオリティを考えると3000円払っても惜しくありません。



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